救命は時間との戦い「勇気を持って使うことが大事」 (2014/11/14)
命を救ったAEDを示す起田幸仁店長。上部には設置を知らせる表示も掲げられている=三沢市のユニバース三沢堀口店
命を救ったAEDを示す起田幸仁店長。上部には設置を知らせる表示も掲げられている=三沢市のユニバース三沢堀口店
 今夏、三沢市のユニバース三沢堀口店に設置された自動体外式除細動器(AED)で一つの命が救われた。AEDを使うべき緊急の事態は、一分一秒を争う時間との闘いでもある。救命講習を受けるなどして訓練を重ねてきた従業員の迅速な対応に加え、看護師や消防関係者が買い物客として店内にいたことも幸いし、命をつなぎ留めることができた。「いざという時は勇気を持ってAEDを使うことが大事だと感じた」。現場で対応した起田(おきた)幸仁店長(47)は、当時を振り返りながら語る。

 起田店長やユニバースによると、8月10日の昼すぎ、買い物客に呼ばれて1台のタクシーが店の入り口付近の通路に到着した。70代の運転手の男性が、客の荷物をタクシーに積み終わると突然、その場で倒れた。
 「人が倒れた」。サービスカウンターから呼び出された起田店長は、すぐに救急車を呼び、店内にいる医療関係者に協力を求めるアナウンスをする手配を開始。現場に行くと間もなく、店内で買い物をしていた看護師が応援に駆け付け、男性の脈拍と呼吸がないことを確認した。
 「AEDはありますか」。看護師の求めに応じて従業員が店内から現場へ運び、看護師が3回使用。同じく買い物で訪れていた非番の消防士も加わり、心臓マッサージと人工呼吸を繰り返すと、男性の呼吸が戻った。時間にしてわずか5分前後。現場に居合わせた全員ができることをして守った命だった。
 ユニバースは2012年3月にAEDを全店に配備。従業員は使用方法を学ぶ救命講習などに定期的に参加し、不測の事態に備えている。それでも、現場を目の当たりにした起田店長は「講習や訓練と異なり、生身の人間に使う難しさを感じた」と話す。
 「命を助けていただいた」。約2カ月後、倒れた男性が感謝の言葉を伝えに店を訪れた。「元気な様子で、本当にうれしかった」と起田店長。だからこそ、胸に刻んでいることがある。「今回は医療従事者の力も大きかった。自分でも一歩を踏み出せるように心掛けておこう」と。(岩舘貴俊、渡部優)
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