AEDで救われた八戸の男性 迅速な救命リレーで後遺症なく (2014/12/04)
AEDの使用など素早い救命処置により社会復帰した男性=11月、八戸市内
AEDの使用など素早い救命処置により社会復帰した男性=11月、八戸市内
 心肺停止の状態から、素早い救命処置や自動体外式除細動器(AED)の使用により一命を取り留め、今も元気に暮らしている人がいる。八戸市の飲食業男性(59)は4年前、心筋症で突然倒れた。生死の境をさまよったが、周囲の迅速な処置で社会復帰し、以前と変わらない生活を送っている。「1分1秒を争う状況で迅速に対応してもらい、ただただ感謝。生かされた命なら大事に使おうという思いで暮らしている」。男性はそう語る。(渡部優)

 「すとんとスイッチが切れて、電源がオフになったような感覚だった」
 2010年9月、男性は市内のスーパーで倒れた。発見した来店客が急いで店員に知らせ、男性の元に駆け付けた。店員の呼び掛けに反応はなく、すぐに救急車を要請した。
 わずかに動いていた手足の動きは次第になくなり、店員は心臓マッサージを繰り返した。間もなく消防車が到着し、救急隊員がAEDを装着。電気ショックを与えると、自発呼吸と心拍が再開した。
 救急車は搬送の途中、ドクターカーと合流。医師と看護師が救急車に乗り移り、医療処置をしながら、八戸市立市民病院に運び込んだ。男性は心筋症と診断され、後遺症を防ぐため、低体温治療が施された。眠り続け、4日後、病院のベッドの上で目が覚めた。
 市民病院でリハビリした後、弘前大医学部付属病院に転院、植え込み型除細動器を入れる手術をした。現在も定期的に通院しているが、後遺症はなく生活に支障はない。多くの人の「救命の連鎖」によって1人の命が救われた。
 一般的に心肺停止してから10分以内にAEDを装着し、ショックを与えないと後遺症の確率が高いとされている。
 AEDの設置台数は年々増え、それに伴い講習を受ける人は増加傾向にある。男性も回復後、受講した。使い方は分かったものの、とっさの事態に対応できるか不安が残る。
 「AEDの普及と実践的な対応ができるかの両方が大切だと思う。『心停止してから処置までに時間がかかると後遺症の確率が高い』というリスクを知っている人はまだ少ないのでは。機械があるから安心と思っていれば助かる命も助からない」。助けられたからこそ、こう思う気持ちは強い。
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