救命率さらなる向上へ「民間の力が不可欠」/キャンペーン9カ月 (2015/08/27)
AEDをめぐる課題やさらなる活用策について分析する今明秀所長。普段から設置場所を把握しておくことの重要性を訴える=八戸市立市民病院
AEDをめぐる課題やさらなる活用策について分析する今明秀所長。普段から設置場所を把握しておくことの重要性を訴える=八戸市立市民病院
 自動体外式除細動器(AED)の有効活用を目的に、デーリー東北新聞社が昨年11月から開始したキャンペーン報道「命つなぐ 市民AED」。この約9カ月間、八戸市をモデル地域として設置状況を調査し、実際に社会復帰を果たした例を踏まえ、救命講習や公的支援の在り方などを探ってきた。報道を通じて浮かび上がった課題を解決し、救命率の向上につなげるためには何をすべきなのか。市立市民病院救命救急センターの今明秀所長に聞いた。
 医療従事者でない市民でもAEDが使用できるようになったのは2004年7月。それから11年以上が経過し、全国各地で設置が進んだ。こうした状況について、今所長は「AEDの導入により、これまで救えなかった命が社会復帰につながっている」と市民AEDのメリットを挙げる。
 特に、率先してAEDを設置し、緊急時は市民にも貸し出せる状態にしている民間企業の取り組みを評価。「活用には民間の力が不可欠。官民が一体となって取り組めば、さらなる救命率の向上が期待できる」と力を込める。
 市民の備えとして、「AEDがどこにあるかを普段から覚えておき、いざというときに取りに行けるようにしておくこと」の重要性を強調。さらに、「救命講習で使用法や胸骨圧迫などを学び、技術を身に付けてほしい」と訴える。
 また、教育現場で救命講習を実施する活動が国レベルでは広がりつつある状況を挙げ、「交通安全と同じように、小中学校で救命講習を取り入れる動きが盛んになれば、命を救う『輪』がさらに広がる」と期待を込める。
 依然として高額なAEDの初期設置費用に関しては、「値段を下げて多くの事業所が購入しやすくするため、販売業者の企業努力も必要」と主張。
 公的支援の在り方については、一度使ったら買い替える必要のある電極パッドを例に、「これらの消耗品は自治体が補助してもいいのではないか」と説明。具体的な補助額などは「その効果を分析し、予算規模を検討すべきだろう」と指摘する。(岩舘貴俊、渡部優)
Copyright (C) Since 2001 THE DAILY TOHOKU SHIMBUN,Inc.ALLrights reserved.