第4回「コラムに挑戦『私の天鐘』」
入賞作品紹介

 デーリー東北新聞社が募集した第4回「コラムに挑戦『私の天鐘』」の入賞作品が決まった。若手の応募が増え、幅広いテーマに挑んだ読み応えのある作品が集まった。各部門の入賞者と、それぞれの最優秀賞に輝いた作品全文を紹介する。
 応募総数は257点。昨年の97点を大きく上回った。内訳は、一般の部(大学生を含む)が33点、高校生の部が昨年より146点増の154点、小・中学生の部が同20点増の70点だった。
 選考会は、10月3日に八戸市のデーリー東北新聞社で開催。八戸学院大学短期大学部ライフデザイン学科長・教授の茂木典子氏と、本紙「天鐘」執筆担当者3人の計4人で、テーマや論旨、表現方法などについて審査、入賞作品を決定した。
 「私の天鐘」は、読者に日々の暮らしの中で感じている思いや疑問などを、さまざまなテーマと切り口で本紙1面コラム「天鐘」と同じ形に仕立て、字数内で自由につづってもらうことを目的としている。
 表彰式は20日午前11時から、本社6階メディアホールで行う。

一般の部
●最優秀賞
「心が通うふれあい」 八戸市、会社員 田村巧(48)
●優秀賞
「私の玄冬」 八戸市、無職 小笠原加寿江(61)
「曖昧だから」 階上町、教員 佐々木宏恵(53)
●佳作
「人差し指を離してみよう」 階上町、主婦 田中三枝子(73)
「未知の世界へ」 三沢市、八戸学院大短期大学部2年 立花夢歌(19)
高校生の部
●最優秀賞
「金魚すくい」 青森県立八戸東3年 矢野初佳(18)
●優秀賞
「記憶」 八戸工大二2年 石戸谷晃成(16)
「ボランティアに必要なもの」 青森県立八戸東2年 石橋慧菜(16)
●佳作
「『好き』とは」 青森県立三戸3年 佐藤優梨(17)
「原爆被害継承のために」 青森県立六戸3年 長者久保麻衣(18)
小・中学生の部
●最優秀賞
「星に願う」 五戸町立倉石中3年 今川留那(15)
●優秀賞
「知ること」 八戸市立白銀南中3年 佐藤那奈(15)
「包丁を研ぐことを通して」 八戸市立白銀南中3年 松本皐(15)
●佳作
「人間が環境にあたえる影響」 七戸町立七戸中2年 小林心菜(13)
「心に花をもつ」 八戸市立白山台中3年 門脇花穗(14)
最優秀賞が掲載された紙面はこちらでご覧になれます。
総 評
 人の書いたコラムを読むのは楽しい。同じ時代に生き、同じ物を見て、同じニュースを聞いているのに、感じ方はそれぞれ。共感するものでも、表現によって読み手の心への染み込み方が変わってくる。今回寄せられた「私の天鐘」の印象である。
 4回目の今年は、高校生と小中学生からの応募が大幅に増え、10代の執筆意欲の高さを心強く感じた。何人かの中高生が時事問題に挑戦していたのも特筆したい。異常気象と災害、世界平和など、社会にしっかり関心を持っていることが窺(うかが)えた。小学生からの唯一の作品は、実体験を通した問題意識が素直に描かれ、思わず考えさせられる力強さがある。
 最も増えた高校生の間で多くを占めた題材が、いじめと誹謗(ひぼう)中傷の温床にもなる会員制交流サイト(SNS)の功罪や部活動など。10代の視点を通して世相が垣間見える興味深さがあった一方で、テーマが似通っているのが気になった。
 中学生は多彩なジャンルに積極的に取り組み、文章も起承転結ができている。ただ、高校生にも言えることだが、全体的に読者に伝えたい内容を絞り切れていないのが惜しまれる。
 多くの応募作品から上位を選ぶのは難しかったが、最優秀賞作品の評価ポイントを紹介してみる。一般の部の「心が通うふれあい」は、行方不明になった男児を救出したボランティア男性と絡めて「社会」のつながりを描いた。時宜を得た話題を用い、読み手の心にすんなり入ってくる言葉遣いのセンスを感じた。
 高校生の部の「金魚すくい」は、身近な場面からペットブームの明暗を浮かび上がらせている。柔らかい文章の中に伝えたい柱が立ち、何よりも駐車場の暗闇に置き去りにされた金魚の泳ぐ袋の描写が深く残る。
 小・中学生の部の「星に願う」は、中学生らしい瑞々(みずみず)しい感性が新鮮。住んでいる地域の情景描写からの導入が効き、モチーフにした流星のように流れていく文章が読ませる。
 「新聞コラム」とは何か。実は、説明するのは難しい。「こうだ」という規程があるわけではない。毎日書いている者でも四苦八苦し、悩みながらパソコンと向き合っている。
 応募作品を読みながら、改めてコラムにはさまざまなタイプがあってもいいのではと思うようになった。
 何かを伝えようとする時、「言葉」による表現の一つがコラムと言える。作文と異なるのは、自分だけを書くのではなく、世の中、周りの人にも関心を寄せて客観的に見る視点。まずは日々の生活で「感じる」ことが大切なのではないか。
 今回応募してきた人たちは皆、楽しんで文章を書いているはず。メールで伝えるのは便利だけれど、それだけでは表現し切れない。日常のちょっとした出来事もコラムに仕立て、書き続けていけば、「言葉」をもっと大事にしたくなる。(論説委員長)
【写真説明】
3部門の応募作品について意見を交わし、審査した選考会=3日、デーリー東北新聞社
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