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デーリー東北

3・11 あの日から 北奥羽

 東日本大震災から5年がたつ。北奥羽の人々は現状と向き合いながら、暮らしや仕事の立て直しに奔走。そして、未来のために記憶を継承しようとしている。

(5・完)教 訓(2016/03/11)

大平洋金属が整備した連絡通路。沿岸部では震災を踏まえたハード整備が進む=8日、八戸市河原木
 地上10メートルの高さで張り巡らされた、工場内の建物をつなぐ連絡通路。地上に下りずに避難場所へ移動できるという。八戸市臨海部の大平洋金属が、東日本大震災後に整備した。
 震災の津波で電気設備や製品在庫の大半が冠水するなど、損失額は約57億円。ハード、ソフト両面で防災体制を大きく見直し、設備投資は数億円に上った。
 連絡通路に加え、避難場所を細かく設定した。高さ2〜3メートルの津波に備えた「第1次避難場所」を16カ所、さらに地上15〜20メートルの「第2次避難場所」を4カ所指定。避難場所には発電機や食料、トランシーバーなどを備える。
 3月11日に近い平日に、全従業員による防災訓練を実施する。避難経路の確認は部署ごとに年2回以上。「従業員の命を守るため。訓練は何度でも重ねる」。泉本忍執行役員安全衛生管理室長は力を込める。
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 市内では地区ごとに自主防災組織の編成が進む。市防災危機管理課によると、いずれかの自主防災組織に属する世帯数は8万8859世帯(5日現在)。震災前の2011年2月の6万6899世帯から大幅に増え、組織率も向上した。
 各自主防災会は年に1回ほど防災訓練を実施。消防からのアドバイスを最小限にし、住民自ら事態への対応をシミュレーションするなど、年を経るごとに内容を充実させている。
 避難者のスムーズな引き渡しと受け入れのため、海岸沿いと高台の地区が合同で訓練する計画もあり、地域間の連携を模索する。
 一方で、震災の風化を危惧する声も上がる。市内のある自主防災会関係者によると、震災直後の12年は関心が高く、防災訓練への参加者は対象約800世帯のうち700世帯ほど。しかし、今年は約350世帯にとどまり、ほぼ半減した。
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 あの日を忘れないように―。大平洋金属は12年2月、被害内容をまとめた記録誌を発行。翌月には津波の高さを示す記念碑も入り口に設置した。「震災を知らない世代も入社してくるだろう。日頃から防災を意識したい」との考えからだ。
 防災訓練への参加率の低下に苦慮する市内の自主防災会。広く関心を持ってもらうため、町内会の行事と合わせて実施するケースもあるという。
 ある関係者は「震災の記憶が薄れているということ」と警鐘を鳴らす。「再び起こり得る災害に備えるため、みんなの意識を高める方法を考えなければ」と使命感をにじませる。
 おいらせ町の深沢地区自主防災会は、町内でいち早く組織され、震災前から活動する。防災に対する住民の意識も高い。
 震災で大きな被害はなかったが、町内の沿岸部では住宅の損壊もあった。県が示した最大クラスの津波浸水予測図では浸水域に入っている。危機感は強い。
 年1回の訓練では、町が定めた経路の確認に重点を置く。町内会にも呼び掛け、参加者を募っていく考えだ。
 工藤一雄会長は語る。「震災の記憶を忘れることが一番怖い」

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