ふるさと幸福論:(4)祖父母住む地で農業を(2015/10/11)
デーリー東北

ふるさと幸福論 〜北奥羽の未来像〜
第1部 「ただいま」の風景

(4)祖父母住む地で農業を(2015/10/11)

畑の手入れに励む水野美香さん。農業をするため、祖父母が暮らす八戸市南郷へ移住した=9月
 幼いころは、母方の祖父母を訪ねて夏に家族旅行する場所だった。牧草地を自由に駆け回ったり、みんなで打ち上げ花火をやったり―。楽しかった思い出がたくさんある。ただ、この地で将来暮らすことになるとは想像もしていなかった。
 八戸市南郷。「南風農園」を営む水野美香さん(39)は2013年5月、夫の浩司さん(35)と共に茨城県常陸太田市から移り住んだ。祖父母が持つ土地を借りて就農し、中野地区と大森地区にある計約3ヘクタールの畑を管理している。
 南郷へ来て間もなく2年半。自分たちを温かく受け入れ、穏やかに見守ってくれる地域住民の心遣いに感謝しながら、農作業に励む毎日だ。
 「自然が豊かで食べ物もおいしい。住みやすくて大好き」。愛情をたっぷり注いで育てた農作物の手入れをしながら、瞳を一層輝かせた。日々の暮らしは充実している。
  □    □
 福島市で生まれ育った。高校からは父の仕事の関係で埼玉県へ。専門学校を経て、21歳でデザイン会社のOLとなり、首都圏での社会人生活がスタートした。
 当時は農業や田舎暮らしに興味はなかった。だが、都会での慌ただしい生活が5年ほど続いたあたりから、「いずれは自然が豊かな場所で暮らしたい」と考えるようになっていた。
 そんな時、はやっていた農家民泊に参加したのがきっかけで農業の魅力を知った。運命の糸で結ばれていたかのように、常陸太田市で就農して間もなかった浩司さんと出会い、07年に結婚。OLを辞め、夫婦二人三脚で農業の道を歩むことを決断した。
 移り住んだ常陸太田市には、全国各地からIターンした若者世代が大勢いて、同じように農業を営んでいた。その昔、思い込んでいた「農業はお年寄りがやる仕事」との見方は完全に変わり、やりがいや楽しさをあらためて知った。
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 「本気で農業をするなら、青森へ行ってみたら」。常陸太田市での暮らしも軌道に乗ってきたころ、母からそんな話があり、10年春、祖父母の住む南郷を久々に訪れた。
 実際に住んだことはなかったが、懐かしくて親しみのある場所は魅力的だった。夫も広大な自然を一目で気に入った。「ここへ来たらいい」。祖父母の後押しもあり、移住を決意した。
 最近の生活は、起床して農作物の収穫をしてから朝ご飯。日中は選別や発送、種まきなどの作業を進め、だいたい夕方までに仕事を終える。「3食しっかりと食べて、夜は寝るのも早い。健康になった」。OL時代とは全く違う生活スタイルも気に入っている。
 結婚を機に農業者となり、住む場所が変わり、そして南郷にたどり着いた。こういう人生を初めから想像していたわけではないが、選んだ道に迷いはない。
 「住む場所とおいしい食べ物があれば、あとは何も要らない。南郷に来て良かった」。水野さんは、ここで生きると決めた。
 (第1部終わり)

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