ふるさと幸福論:(5)気付いた足元の魅力(2015/10/31)
デーリー東北

ふるさと幸福論 〜北奥羽の未来像〜
第2部 “何もない”のチカラ

(5)気付いた足元の魅力(2015/10/31)

久慈市はドラマの放送をきっかけに、“あまちゃん効果”を生かした観光振興に力を入れる。左上から時計回りに、「あまくらぶ」メンバーとして活動した岩舘ひろみさん、シャッターに描かれたイラスト、にぎわう小袖海岸(写真はコラージュ)
 東京からやって来た主人公アキには、北三陸の全てが魅力的に映った。親友ユイはそんな田舎が嫌い。都会へ出て、アイドルになることを夢見ていた。
 性格も、育った環境も対照的な2人の少女が、海女やアイドルを目指して成長していく姿を描いたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」。2013年4月の放送開始以来、全国的なブームとなり、舞台となった久慈市は一躍脚光を浴びた。
 ドラマでは、流行語大賞に選ばれた方言「じぇじぇじぇ」に加え、北限の海女やまめぶ、琥珀(こはく)などが紹介され、世の中の関心を集めた。地方には埋もれている地域資源がまだまだある―。多くの人にそう気付かせてくれる作品でもあった。
 当時、岩手県立久慈東高生だった岩舘ひろみさん(19)は、同世代のアキやユイと自分を重ね合わせながら、毎日楽しみにドラマを見ていた。そして、放送終了から半年後、ドラマの世界は岩舘さんの現実になった。
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 14年4月、久慈市の女子高生による5人組ユニット「あまくらぶ」が誕生した。北三陸地域のPR役として観光イベントなどのステージに立ち、歌や踊りを披露。高校を卒業してそれぞれの道へ進むまでの1年間にわたり、5人はアイドルさながらの活動に励んだ。
 岩舘さんはそのメンバーの一人。歌も踊りも経験はなく、人前に出るのも苦手だったが、ドラマを通じて「自分もアキやユイのように成長したい」と考えるようになり、他のメンバーからの誘いを受けて活動への参加を決断した。
 地域と関わりながらステージに立ち、観光客と触れ合う中で気付いたことがある。「久慈で生まれ育ったのに、地元の良さを分かっていなかった」。1年間の活動を経て、今では北三陸に降り立ったアキと同じように、魅力いっぱいの久慈を感じられるようになった。
 現在は久慈市の「もぐらんぴあ・まちなか水族館」で働きながら、市観光物産協会の観光大使を務め、北三陸のPR活動を続けている。
 「人見知りだった自分が地元をPRする側に立つとは想像もしていなかったが、一人でも多くの人に北三陸の魅力を伝えたい」。ドラマで大きく変化した人生は、充実している。
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 10月下旬、小袖海岸。最盛期のにぎわいこそなかったが、平日にもかかわらず駐車場には県外ナンバーの車が何台も止まり、風光明媚(めいび)な景色を眺めながら「きれいだねえ」などと会話する観光客の姿が見られた。
 一方、市中心部を歩くと、あまちゃんのポスターが今なお随所に。店のシャッターには関連イラストが描かれ、訪れた人々が楽しめる工夫がなされていた。
 「北三陸の魅力を全国に発信したあまちゃんは、この地で暮らす人々に自信と希望を与えてくれた」と市商工観光課の職員。“あまちゃん効果”を生かした観光振興策を継続し、にぎわいのある街づくりを進める考えだ。
 あって当たり前、全国に自慢するほどじゃない―。とかくそう思われがちな地元だが、北三陸の住民はドラマをきっかけに、すぐ足元にある魅力に気付いた。放送終了から2年。今度は地元から積極的に情報発信する番が訪れている。

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