ふるさと幸福論:(7)「売れない」風潮覆す(2015/11/02)
デーリー東北

ふるさと幸福論 〜北奥羽の未来像〜
第2部 “何もない”のチカラ

(7)「売れない」風潮覆す(2015/11/02)

定例会で活動の関連動画を見る八戸せんべい汁研究所のメンバー。卓越した企画力やアイデアでせんべい汁を全国区に押し上げた=10月、八戸市内
 10月中旬、八戸市中心街のビルの一角。八戸せんべい汁を全国に情報発信する「八戸せんべい汁研究所」(通称・〓研(じるけん))のメンバーが集まり、月に1度の定例会を開いていた。
 このイベントには誰が協力できるか、せんべい汁を作る機材の手配はどうするか―。メンバー間でざっくばらんにやりとりをしながら、約2時間の会合でびっしり詰まった今後のスケジュールが次々と決定。最後に活動の関連動画を全員で見て、笑顔で解散した。
 郷土料理のせんべい汁で地域おこしをしようと、2003年に発足して12年。せんべい業界の関係者は一人もおらず、会社員や主婦らで構成する市民ボランティア団体は、卓越した企画力やアイデアでせんべい汁を一躍、全国区に押し上げた。
 日本最大級のまちおこしイベント「B―1グランプリ」を考案し、全国的なブームの“火付け役”となるなど、その功績は目覚ましい。ただ、活動が軌道に乗るまでの道のりは決して平たんではなかった。
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 「だぁ、せんべい汁が売れるって」
 〓研の設立当初、事務局長の木村聡さん(51)が八戸市内の飲食店を回るたび、店主らから言われ続けた言葉だ。恥ずかしくて店では出せない、観光客に食べさせるものではない―。当時、地元ではこうした風潮が根強く残っていたという。
 ある時、メンバー数人で集まり、話し合った。「せんべい汁を首都圏でPRして知名度を上げ、評価を高めれば、地元の意識も変わるのではないか」。木村さんらは当時の状況を「『(打ち消す意味の)だぁ』の壁」と呼び、打破すべく動きだした。
 その活動の一つとして企画したのがB―1グランプリだ。06年に八戸市で第1回大会を開催して以来、地元で愛される名物料理で地域おこしをする、という新たなスタイルは多数のメディアに取り上げられ、B―1とせんべい汁の認知度は大幅にアップ。
 そして12年、北九州市で開かれた第7回大会では悲願のゴールドグランプリに。地元住民にとっても、暮らす地域を誇らしく思える明るい話題となった。
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 「地元の人が自慢できるものを一つは全国にPRできたかな」。木村さんはこれまでの12年間に一定の手応えを感じる一方、「活動に終わりはない」とも。
 思い起こすのは数年前、長崎市を訪れた時のこと。地図を持って歩いていると、道行く市民がすぐに寄って来て案内してくれた。信号のない交差点に立つと車が自然と止まり、歩行者が渡るのを待つ。観光客にも優しいそんな街を、八戸で目指したい。
 必要なのは、地元での人材育成だ。〓研では、学校を訪問し、せんべい汁の歴史やまちおこしの手法を子どもたちに伝える活動に力を入れ、“受け皿”の拡大に努めている。
 「落ちているごみを拾う、八戸の良さを誰かに伝える、こうした小さな心掛けも地元の魅力アップにつながる。まちおこしの活動は誰でもできるんです」。〓研の飽くなき挑戦はこれからも続く。

※〓は「汁」に濁点がついたもの

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