ふるさと幸福論:(8)新たな活力生む希望(2015/11/03)
デーリー東北

ふるさと幸福論 〜北奥羽の未来像〜
第2部 “何もない”のチカラ

(8)新たな活力生む希望(2015/11/03)

イベントでポーズを決める二戸市の九戸政実武将隊。若手有志が地域を盛り上げようと熱意を燃やしている=10月31日
 「はっ、よっ」。夜の会議室に、勇ましい掛け声が響き渡る。10月下旬、二戸市にある県二戸地区合同庁舎の一室に集まったのは、地元有志で今年3月に結成された「九戸政実武将隊」。週末のイベントに向け、20〜40代の5人が模造刀を手に、殺陣の練習を重ねていた。
 メンバーは、地元ラジオ局のパーソナリティー、NPO法人職員らで、それぞれの仕事を終えてから稽古に駆け付けている。
 時折、鋭いまなざしで隊員の動作に目を光らせていたのは、同市の公務員佐藤貴之さん(43)。「遅い遅い」「もっと腰を入れて」とハッパを掛ける。
 佐藤さんは以前から、音楽やダンスの交流イベント運営に携わってきた。「二戸をもっと盛り上げたい」との思いは強く、県主催のコンテストをきっかけに、2013年度から政実関連の事業にも関わっている。
 厳しいアドバイスも、武将隊に人を呼び込む可能性を感じているからこそ。「演じる側のプロ意識が高まれば、もっと面白いものができる」と、レベルアップを目指す。
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 政実は、南部家の跡目争いをきっかけに、わずか5千の兵力で、6万を超える豊臣秀吉の軍に挑んだと伝えられる。一部の歴史ファンに根強い人気はあったが、知名度はそれほど高くはなかった。
 ところが、戦国武将をキャラクター化したゲームの人気や、大河ドラマの影響で歴史ブームが高まると、状況が一変。二戸市でも、数年前から政実関連のイベントが盛んに行われるようになった。
 県が観光政策として「政実プロジェクト」事業に乗り出したこともあり、動きがさらに加速。武将隊は、観光PR活動の中核的な存在となり、地元イベントにも引っ張りだことなっている。
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 10月3、4の両日、政実を題材とした文士劇「天を衝く」が、市民文化会館で上演された。武将隊も含めたスタッフは約250人。計約1500人の観客が詰め掛け、歴史ロマンに浸った。
 ある関係者は、「正直、政実で人が集まるなんて、一昔前には考えられなかったよ」と打ち明ける。
 中央から見れば「謀反人」とされる政実に関する資料は少ない。歴史に埋もれていた先人に当たり始めた光は地域にとって、新たな活力をもたらす希望となっている。
 九戸城ボランティアガイドの会の小保内淳代表は、「絶対的な権力に対抗し、最後まで信念を貫いて戦った人物がいたことが、みんなの心に響いている。政実は次の世代に自らの生き方を示し、思いを託したかったのでは」。
 政実の志は、地域の魅力を信じ、発信を続ける市民の心に今も息づいている。
 (第2部終わり)

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