ふるさと幸福論:(19)自宅を“教室”に夢つかむ(2016/02/08)
デーリー東北

ふるさと幸福論 〜北奥羽の未来像〜
第5部 若者リアル@学び

(19)自宅を“教室”に夢つかむ(2016/02/08)

通信制高校で学ぶ風間弘貴さん。パソコンを使い、動画で授業を受ける=1月、八戸市東白山台
 本棚にベッド、ハンガーラックや机が所狭しと並ぶ自宅2階の6畳間。ここが風間弘貴さん(18)=八戸市東白山台=の“教室”だ。
 「クラーク記念国際高校仙台キャンパス」(仙台市)通信制課程の3年生。2年間、自室のパソコンでWEB動画の授業を受け、無事に卒業できる見通しとなった。埼玉県の私立大学に推薦合格も決まり、「経営学を学び、将来はサービス業界で活躍したい」と意欲に燃えている。
 大学進学。それは、一度は諦めかけた夢だった。市内の県立高校に入学した風間さんは、1年生の時、人間関係のトラブルから通学が困難になった。
 精神的に不安定な状況ではあったが、「今の時代、高卒の資格は絶対に必要」と考え、自分のペースで勉強できる通信制高校をインターネットで検索した。
 月1、2回の通学で卒業できるクラークに行き当たり、詳しく見てみると、授業料は年間約6万円(支援金制度を活用)。1回の通学に往復3万円ほど掛かるが、家族の承諾を得て、2年生の4月に転校した。
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 自分で選んだ道とはいえ、街に出ると、楽しそうに歩く制服姿の高校生に自然と目が行く。「自分もあんなふうに毎日、学校に通っていたはずだったのに…」。最初の数カ月は割り切れない悔しさでいっぱいだった。
 それでも「ここで頑張るしかない」と、気持ちを切り替えた。まずは2年間で卒業することを目標に、毎日2時間ほど机に向かい、決められた課題は必ず期限までに終わらせた。
 通学は、不安の種だった。「学校に通うことがトラウマだったし、正直、通信制に良いイメージがなかった。『不良が多い』と思い込んでいた」と明かす。
 実際に通い始めると「真面目な、普通の生徒ばかりで安心した」。登校日は午前4時に起きて始発の新幹線に乗り、一度も欠席することなく通い続けた。
 地道な努力のかいあって、4年制大学の指定校推薦を受けられることになった。合否発表日の1月27日、スマートフォンで照会すると「合格」の2文字。
 「やった!」。つらい時期、ずっと支えてくれた家族も、吉報を喜んでくれた。
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 「通信制では全てを自己管理しなければならず、強い意志が必要。推薦の要件は誰でも満たせるわけではなく、弘貴はよく頑張った」。2年間、風間さんの担任を受け持った本郷純教諭(37)は、困難を乗り越えた教え子に目を細めた。
 本来、通信制は働きながら高卒資格を得る社会人のための場だったが、近年は不登校など、学校を取り巻く環境が複雑化。「役割が変化しつつあり、一人一人をじっくり見てあげたい」と語る。
 周囲の支えもあって、夢をつかんだ風間さん。たどり着くまでの道のりには、想定外の試練もあったが、今は「人生、うまくいかないことだってある」と、受け入れている。
 約1カ月後には、八戸を離れ、1人暮らしを始める。うれしいこともつらいことも経験した地元は、「18年間育った、思い入れの深い場所」。お盆や年末年始は必ず帰って来るつもりだ。

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