ふるさと幸福論:(22)にぎやか育児 こころにゆとり(2016/05/05)
デーリー東北

ふるさと幸福論 〜北奥羽の未来像〜
第6部 “日本一”の県・福井

(22)にぎやか育児 こころにゆとり(2016/05/05)

東京から一家で夫の実家に引っ越した牧野裕希さん(左から3人目)。大家族でのにぎやかな生活が気に入っている=4月下旬、福井県越前市
 「見て見て、ちゃんと食べたよ」「お水を取ってちょうだい」。一家の食卓は、子どもたちのにぎやかな声と、大人たちの笑顔に満ちていた。
 さいたま市出身の牧野裕希(ゆき)さん(39)は2015年、一家5人で東京都内から、福井県越前市にある夫・裕一さん(37)の実家に移り住んだ。隣町の鯖江市にある小学校で養護教諭を務めながら長男(8)、長女(7)、次男(5)の子育てに励む。
 一見、大変そうに思えるが、裕希さんは「子どもが4、5人いる家庭もあり、3人は普通。同世代では、同居しながら働いているママがほとんどですよ」とさらり。両親に子育ての協力を得ながら、夫婦2馬力で働く福井流≠地でいく暮らしぶりだ。
 「越前は工場の町だから、昔から勤めに出る女性が多い。専業主婦だと『どうして働かないの』と言う人もいるほどです」と、裕一さんの母・昭代さん(61)。自身も今年3月、地元の幼稚園を退職し、市教育委員会の嘱託職員として働いている。
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 一般財団法人・日本総合研究所の2014年版幸福度ランキングで、総合1位の福井県。特徴的なのが、就業率の高さに代表される、女性のライフスタイルだ。
 越前和紙や越前漆器に代表される伝統工芸が息づく土地柄。鉱工業や繊維、眼鏡などの、もの作り産業が盛んだ。加えて、待機児童率0%(同ランキング)と、保育施設が充実し、女性の社会進出を支える一因となっている。
 さらに、持ち家率が74・0%(同)と全国4位の高さで、2世代、3世代の同居を可能にしている。牧野家は、裕希さん一家5人と義父母、出産のため、嫁ぎ先の富山県から里帰り中の義理の妹(33)とその長女(2)の計9人が、8LDKの一戸建てに暮らす。
 都会の友人からは、「同居で大変だね」などと言われるが、裕希さんは「皆おおらかでいい人。ゆとりを持って生活できるようになった」と感謝している。
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 東京でも養護教諭をしていた裕希さんだが、精神的には今と比べものにならないほど、張り詰めていた。「育児を代わってくれる人がいないので残業できず、日中は常に仕事に追われていた」と振り返る。
 子連れでの外出は、特に神経をとがらせた。電車内で子どもがぐずり始め、見知らぬ男性に「うるさい」と怒鳴られたこともある。
 民間企業に勤めていた裕一さんは、片道1時間半かけて通勤。子煩悩で育児に協力的だが休みがなく、週末や年末年始もほとんど一緒に過ごせなかった。
 「こういう暮らしを続けていいのか」。疲れ切った夫婦が出した答えが、田舎暮らしだった。裕一さんは地元越前市の職員に転職。世帯収入は300万〜400万円減ったというが、「家族そろって過ごせる時間と、ストレスのない生活が手に入った」と後悔はない。
 子どもを見守る地域の温かさも感じている。裕希さんが、自転車に乗れるようになったばかりの長女と次男を連れていると、車で通り掛かった中年男性が「お母ちゃん大変やな。頑張れー」。涙があふれた。
 「もっと早く福井に来れば良かった」。ゆったりとほほ笑む裕希さんの表情は、充実感に満ちていた。

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