ふるさと幸福論:(25)人柄、景色…魅力再認識(2016/05/09)
デーリー東北

ふるさと幸福論 〜北奥羽の未来像〜
第6部 “日本一”の県・福井

(25)人柄、景色…魅力再認識(2016/05/09)

住民と談笑する野田村出身の小野寺康浩さん。寺院を活用した町おこしに取り組み、やりがいを感じている=4月下旬、福井県越前市
 一般財団法人・日本総合研究所の「都道府県幸福度ランキング」2014年版で、総合1位となった福井県。そこに地域おこし協力隊として活動する、北奥羽地方出身の若者がいる。
 野田村出身の小野寺康浩さん(26)は、14年10月に首都圏から福井県中央部の越前市に移り住み、同市に多い寺院を活用したまちづくりに取り組んでいる。
 親戚や友人がいるわけでもなく、全く縁のない土地に飛び込んだきっかけは、ヒッチハイクの一人旅。「人柄や飯のうまさが忘れられなかった。全国を旅した中でも、かなり気に入っている場所です」と笑う。
 岩手県立久慈高校を卒業後、埼玉大に進学。公務員志望で、勉学の傍ら、趣味のドラム演奏や旅行を楽しみながら、学生生活を送っていた。
 そんな大学生の価値観を、一変させたのが、東日本大震災だった。高台の自宅と家族は無事だったが、一緒に通学していた友人が津波の犠牲となった。
□    □
 当時は大学3年で、就職活動の真っ最中。何となく「大学に入り、いい仕事に就くこと」を目指していたが、志半ばで人生を終えた友人の無念を思うと、「果たしてその道でよいのか」と、疑問が湧き上がった。
 「人生を中途半端に生きられない。僕なりに生きることに向き合わないと」。本気でやりたいことを探す旅が始まった。
 大学卒業後の2年間は、ヒッチハイクで全国を回った。経験を広げようと、14年2月、都内の介護用品メーカーに入社。営業職で給料は高く、やりがいもあったが、「クリエーティブな部分が全くなく、物足りなかった」と振り返る。
 5月の大型連休で、初めて福井へ。景勝地・東尋坊の駐車場で次の行き先を考えていると、「もしかしてヒッチハイク? 乗せていこうか」。旅行中の家族連れに声を掛けられた。
 好奇心旺盛で人懐っこい福井県民の人柄に引かれ、すっかりとりこになった小野寺さんは、1カ月後、一家が住む越前市を再訪。協力隊の募集を知り、すぐに書類を提出した。
 会社に辞める意向を伝えると、担当者は「今日中に片付けて帰って」と一言。8カ月間の会社員生活に別れを告げた。
□    □
 現在の主な活動は、お坊さんがガイドを務める街歩きイベント「てらたび。」の企画・運営だ。参加者に喜ばれ、檀家(だんか)の減少や後継者不足に悩む寺院側にとっても、市民との交流を深める場になっている。
 活動は新聞やテレビ、雑誌などに取り上げられ、今ではあちこちで住民から声を掛けられる人気者だ。
 「活動的な人がつながりやすく、元気が出る。程よいサイズ感でコミュニティーが完結しているからかな。人柄はいいし、景色はいいし…」。福井の魅力を分析するうちに、ある結論に行き着いた。「これってほとんど地元と同じ。地元って最高だな」
 上京した時は、地方にないものばかり目に付いていたが、多くの経験や出会いによって、大切なものが見えるようになった。
 「地元はいつでも帰れる。今はこの場所で、楽しみながら頑張りたい」。この先もまだまだ、旅を続けるつもりだ。
(第6部終わり)

PR

  •  47NEWSは47都道府県52新聞社のニュースと共同通信ニュースを束ねた総合サイトです。
  •  全国の1,300を超えるショップと47都道府県の地方新聞社が一緒になって活動をしています。青森の“おすすめ”はこちらから。
  •  家族や友だちといっしょに記事を読み、感想・意見などを書いて記事とともに応募するこのコンクールは、「思考力・判断力・表現力」を重視する学習指導要領の理念も念頭に置いた企画です。。
  •  共同通信PRワイヤーは共同通信グループのプレスリリース配信サービスです。

  •  広告ビジネスに携わる方々に「新聞」と「新聞広告」の特性をご理解いただくことを目的として運営しています。
  •  自分に合った読み方を診断してみよう。きっと新聞の読み方が変わるハズ?

  •  日本で唯一の「ナショナル・プレス・クラブ」です。人々の「知る権利」に資するジャーナリズム活動の拠点です。