魚種変動の衝撃:第1部 イカはどこへ(2)下請けに高騰しわ寄せ(2018/04/17)
デーリー東北

魚種変動の衝撃
第1部 イカはどこへ

 イカの街を突如襲った長期不漁。ほかにもイカと並ぶ二本柱のサバが小型化の傾向が続くなど、急激な変動に揺れている。現状と背景に迫るとともに、今後の針路を探りたい。

(2)下請けに高騰しわ寄せ(2018/04/17)

輸入イカをさばいて1次処理するマルスケの加工工場
 「原料のスルメイカの単価が希望の倍以上。末端の製品価格には転嫁できないので、結局は私たちのような下請けが値上がり分を吸収していたのだが…」
 イカの加工を専門に手掛けるマルスケ(八戸市)の古川正人社長(56)は、長引く不漁による原料価格の高騰にため息をついた。
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 イカの内臓や足を抜き、胴体を加熱・乾燥させた味付きの「ダルマ」という1次加工品(半製品)を製造。出荷先の函館市内の業者ではダルマを原料として、さきイカや薫製などの珍味を作っていた。
 ところが、イカの価格は1次加工や最終加工でも吸収し切れないほど高騰。「不漁1年目は何とか踏ん張ったが、2年目以降は函館の業者が珍味の製造をやめ、こちらからの供給がストップした」(古川社長)
 イカ珍味は嗜好(しこう)品。何が何でも食べなくてはいけない必需品とは異なる。魅力の一つである価格が見合わなければ、消費者はそっぽを向いてしまう。
 同社は元々、イカ以外に、スケソウダラ、サバ、イワシも手掛けていた。だが、2011年3月の東日本大震災による津波被害で設備が壊れ、国の補助金で加工設備を整えたイカに特化していた。今から他魚種への転換を図るのも容易ではない。当時は現在のようなイカ不漁の長期化を想像すらできなかった。
 スルメイカの代わりに、最近は市内の大手業者が輸入した海外イカの委託加工を請け負っている。不漁前と比べて売上高は大幅に落ち込み、従業員も17人から8人に減った。事業規模を縮小させながらも、安定した委託業務の確保で何とか危機をしのいだ。
 「海外産でも何でもいいので、とにかくイカさえあればやっていける。水産業界挙げて今回の危機に対応する取り組みも必要ではないか」。古川社長は切実に訴える。
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 スルメイカの国内水揚げの2〜3割を占める八戸港は、加工拠点であると同時に全国に原料を供給する拠点でもある。イカが大量に水揚げされると、生や冷凍のほか、内臓と足を抜いた「つぼ抜き」、ダルマなど1次加工品の形で出荷され、供給先の全国の加工場ではさきイカや塩辛、するめなどに姿を変える。
 イカの流通を仲介したり、マルスケのように1次加工品を製造したりする市内の業者にとって、不漁は死活問題だ。2月には水産加工で中堅の栄食(同)が約5億円の負債を抱えて破産手続きに入った。同社関係者は昨年秋に「安い海外産との競合が激しい上に、最近のイカ高騰を受けた値上げで顧客企業が離れていった」と嘆いていた。
 ほかにもイカ加工から撤退する動きがあり、そのうちの一社は「つぼ抜きを手掛けていたが、仕事がなくなった。年配の従業員が多かったので、傷が浅いうちにすっぱりやめた」と明かし、「体力のある大手は生き残れるが、イカが主力の小さな会社には環境が厳し過ぎる」と吐露した。
 苦悩するイカ原料の供給拠点。では、出荷先の状況はどうだろう。津軽海峡を越えて北へ向かうと、珍味メーカーが集積する北海道南でも、事態は深刻さを増していた。

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