魚種変動の衝撃:第1部 イカはどこへ(3)輸入珍味の台頭に苦戦(2018/04/18)
デーリー東北

魚種変動の衝撃
第1部 イカはどこへ

 イカの街を突如襲った長期不漁。ほかにもイカと並ぶ二本柱のサバが小型化の傾向が続くなど、急激な変動に揺れている。現状と背景に迫るとともに、今後の針路を探りたい。

(3)輸入珍味の台頭に苦戦(2018/04/18)

大久吉田商店で開いたイカを乾燥させて作る「するめ」=北海道福島町
 3月中旬、根雪が消えたばかりの北海道・松前半島。函館市から海沿いを車で1時間半ほど走ると、国内有数の「するめ」生産量を誇る福島町に着いた。
 昭和40年代まではスルメイカやホッケが大量に水揚げされ、それに伴って、するめなどの乾物を製造する加工業が発展した。
 ピーク時には30社近い業者があったものの、昭和50年代半ば以降は水揚げも加工も次第に減少。ここ3年のイカ不漁で加工業2社が新たに廃業し、現在は7社まで減ったという。
 残ったうちの大手、大久吉田商店の吉田隆悦社長(62)は「とにかく困った。イカだけでなく、代わりの魚も取れない。原料がないことにはどうしようもない」と苦境を明かした。
 不漁前は八戸や道内の他産地から原料を調達していた。ところが、原料価格が跳ね上がると「赤字覚悟でも買うしかない」(吉田社長)という状況に。
 原料の不足と高騰で2017年の同社の生産量は前年に比べて6割も減り、代わって量販店の棚を埋めていったのは安い輸入珍味。同社も原料に海外イカを使い始めたが、輸入品との競合は厳しいという。
 吉田社長は「質の低い輸入品の増加が消費者のイカ離れを招く悪循環に陥っている。量販店も国内品を一定割合置くように配慮してほしい」と訴える。
   ■    ■
 函館や福島、松前町などの道南地方は珍味メーカーが集積する一大拠点。原料の“八戸依存度”は高く、道内の大手商社関係者は「不漁前も今も、半分は八戸産を使っているのではないか」との見方を示す。
 不漁前は残る半分が道産だったが、16、17年と道東産が壊滅的な状況に陥ってからは1割まで低下。減少分を補っているのが、海外からの輸入イカだ。
 漁業者保護の観点から輸入枠があるものの、近年の不漁を受けて徐々に拡大されている。17年の輸入枠は11万2950トンと、14年比で25%増。それすら高くて手を出せないのが現状だという。
 支援策として函館市は昨年、輸入イカの購入費を一部補助。18年度はイカ加工業者がイカ以外に進出するのを支援する「魚種転換支援事業」を創設した。道も水揚げが急増するマイワシ・マサバの活用と消費拡大に向けた検討を始めた。
 危機にあって行政としての役割を探るものの、急激な魚種変動の前では効果は限られる。市内の加工業者は「無理に高い原料イカを買い、値上げした製品が売れずに在庫を抱えたままの業者もある。後継者不足もあり、やめる業者が増えるのでは」と危惧する。
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 八戸にとって道南は“お得意さま”。水揚げされたスルメイカのうち「半分までいかないものの、相当の割合」(物流関係者)が、生や冷凍、1次加工品(半製品)など何らかの形で津軽海峡を渡っている。
 長引く不漁で縮む市場と流入する海外イカ。道南の加工業者も生き残りを必死で模索している。いずれ八戸に水揚げが戻った時、最大の供給先はどんな姿になっているだろうか―。
 「40年ほど前も10年くらいの大不漁があった。当時は遠洋漁業に原料を助けてもらった」。大久吉田の吉田社長は振り返る。
 1970年代後半、八戸ではイカが消えた前沖に見切りを付けて、多くの大型漁船が未知なる海外漁場へとこぎ出していった。

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