魚種変動の衝撃:第2部 レジーム・シフト(3)40年ぶり寒冷シフトか(2018/05/08)
デーリー東北

魚種変動の衝撃
第2部 レジームシフト

 八戸港を襲った急激な資源変動を引き起こすものは何か。第2部では背景に迫る。

(3)40年ぶり寒冷シフトか(2018/05/08)

PDO指数の推移(1901〜2017年)
 寒冷期入りを示唆する気候指数「PDO」(太平洋10年規模振動)の変動と、マイワシの資源回復。2014年ごろ、約40年ぶりに「気候」と「生物」の二つのレジーム・シフトが発生したのではないか―。
 過去の例ではマイワシが爆発的に増える半面、カタクチイワシ、マアジ、スルメイカなどが前後して減ることが知られている。
 取材した限り、はっきりと断言した研究者はいなかった。気候のシフトに関して言えば、寒冷期に入ったと判定するには少なくとも5年はPDOが寒冷期を示す値で推移するのが必要とされ、現時点ではデータの期間が短過ぎるのだ。
 例えば、18年にPDOが温暖期を示す値に戻ればレジーム・シフトが発生したとは言えない。今の段階で言えるのは「もしかしたら14年に変わったかもしれない」ということだけだ。
 一方、マイワシの方も資源量は急激に回復しているものの、1980年代の高水準期と比べると10分の1ほど。“爆発的な増加”とは言い難い。増えるとすればこれからで、やはり「シフトしたかもしれない」と言うしかない。
 前回のシフト時に照らし合わせると、今は70年代後半の初動段階。これから数年で80年代と同じ推移をたどるのか否か…。
 90年代に存在が明らかとなってから、初めてリアルタイムで捉えるかもしれないレジーム・シフト。やはり、データの蓄積が圧倒的に足りないのだ。
■    ■
 そもそも20年代と70年代の寒冷期に、なぜ連動してマイワシが増えたのかという謎が残されたままだ。
 最近の資源量を見ると、国の評価では05年の8万7千トンを底に、10年は37万6千トン、14年は124万4千トン、16年は211万7千トンと急増している。
 80年代は2千万トンまで増えた。マイワシの寿命は7年で、一度増えるとなかなか減らない。資源が少ない時期は沿岸にとどまるのに、増えると沖合まで生息域を拡大する特徴もある。空を覆い尽くして飛ぶイナゴに例える研究者もいる。
 水産研究教育機構・中央水産研究所(横浜市)の古市生(しょう)研究員(30)は最近の増加要因として、海洋環境の変化に加え、マイワシの消費需要の減少によって漁獲量が少なくなっている点を挙げる。
 一方、寒冷期にマイワシが増えるメカニズムについては「具体的には分からない。仮説ばかりで、今後も同じことが繰り返されるかどうかすら言えない」との指摘にとどめる。
■    ■
 仮説のうちで代表的なのはアリューシャン低気圧との関係だ。寒冷期に勢力が強化されると、稚魚の成長に適した水温に低下。同時に風でかき混ぜられた海の下層から栄養が湧き上がり、餌となるプランクトンが増えるという。
 ただ、そうだとすれば栄養状態が良くなるのはマイワシだけではないのに、一緒に増えた主要魚種は見当たらない。アリューシャン低気圧と寒暖変動の因果関係も明らかではない。
 別の説を唱える研究者もいる。マイワシの運命を決めるのは、黒潮の速さだという。

PR

  •  47NEWSは47都道府県52新聞社のニュースと共同通信ニュースを束ねた総合サイトです。
  •  全国の1,300を超えるショップと47都道府県の地方新聞社が一緒になって活動をしています。青森の“おすすめ”はこちらから。
  •  家族や友だちといっしょに記事を読み、感想・意見などを書いて記事とともに応募するこのコンクールは、「思考力・判断力・表現力」を重視する学習指導要領の理念も念頭に置いた企画です。。
  •  共同通信PRワイヤーは共同通信グループのプレスリリース配信サービスです。

  •  広告ビジネスに携わる方々に「新聞」と「新聞広告」の特性をご理解いただくことを目的として運営しています。
  •  自分に合った読み方を診断してみよう。きっと新聞の読み方が変わるハズ?

  •  日本で唯一の「ナショナル・プレス・クラブ」です。人々の「知る権利」に資するジャーナリズム活動の拠点です。