魚種変動の衝撃:第2部 レジーム・シフト(5)サバ小型化 イワシの影(2018/05/10)
デーリー東北

魚種変動の衝撃
第2部 レジームシフト

 八戸港を襲った急激な資源変動を引き起こすものは何か。第2部では背景に迫る。

(5)サバ小型化 イワシの影(2018/05/10)

マイワシとマサバの資源量の推移
 2017年11月20、21日、八戸港にはサバ4千トンが2日に分けて水揚げされた。シーズン一番の大漁にもかかわらず、市場に熱気はなかった。「昨年ほどではないが、やはり小さい」。仲買人は首をかしげた。
 北海道や三陸沖で取れるマサバ(太平洋系群)の資源量は13年に一気に増大し、1970年代以来の高水準となった。マサバは中期的な寒暖変動(気候のレジーム・シフト)とはあまり対応せず、独自の周期で増減するとされる。
 今回の増大の背景には産卵や稚魚の生存に適した環境が整ったのに加え、11年3月の東日本大震災の影響がある。元々、資源量が増えていたところに、震災のために漁業が半年ほど中断し、産卵に適したサバの生き残りが増えたのだ。
 結果として、13年に「大卓越年級」と呼ばれる40年ぶりの資源増大をもたらしたと考えられている。
 問題はサイズだ。水産研究教育機構・中央水産研究所(横浜市)の由上龍嗣主任研究員(40)によると、平均体重は12年まで400グラム以上だったのに対し、13年以降は346グラム、251グラム、264グラム、271グラムと推移。13年生まれの成長が期待された17年でも307グラムにとどまった。
 年を重ねてもなぜか大きくならない。由上研究員は「これほど成長しないのは過去にない」と指摘する。締めさばなどに向く450グラム以上のサイズが少ない状況が続き、加工原料の不足を招いている。
■    ■
 根元要因は数が多過ぎて1匹当たりの成長が悪くなる「密度効果」。だが、今より資源が多い70年代でも、これほどの小型化は起きなかったという。どうやら、ほかの要因が複合しているようだ。
 「はっきりとは分からないが、幾つか考えられる」と由上研究員。一つは餌が当時と異なり、成長できない可能性。二つ目は未成魚の段階で冷たい「沿岸親潮」にさらされ、成長が妨げられたとの見方だ。
 最後に挙げたのがマイワシの存在。資源が増大しているのに、マサバのような密度効果は見られない。むしろ太っているくらいだ。餌が豊富な海域を占め、そのしわ寄せがマサバに及んでいる可能性がある。
 サンマも昨年は記録的な不漁。資源減少が要因で、魚体も痩せていた。海洋研究開発機構の西川悠特任研究員(36)は「マイワシが多い年は餌のプランクトンが少なかった調査結果がある」として、マイワシ増加を要因の一つに挙げる。
 生息域が広いサンマの場合は資源の回復も早く、過去の資源減少は1、2年の短期にとどまっているものの、今回は外国船による公海での漁獲の影響も気になるところだ。
■    ■
 80年代の八戸港の水揚げ推移を振り返ってみたい。当時はマサバが周期的に増え切り、減ろうとするタイミングでマイワシが増え始めた。“海の主役”は円滑に交代を果たした。
 だが、今回は2魚種が同時に増え始めている。漁獲管理が不十分だった90年代に乱獲でマサバが増える芽を摘み、増減サイクルが狂った可能性があるのだ。
 海が生命を養えるキャパシティー(容量)は限られるのに、競うように数を増やそうとする2魚種。共存の行方は…。

PR

  •  47NEWSは47都道府県52新聞社のニュースと共同通信ニュースを束ねた総合サイトです。
  •  全国の1,300を超えるショップと47都道府県の地方新聞社が一緒になって活動をしています。青森の“おすすめ”はこちらから。
  •  家族や友だちといっしょに記事を読み、感想・意見などを書いて記事とともに応募するこのコンクールは、「思考力・判断力・表現力」を重視する学習指導要領の理念も念頭に置いた企画です。。
  •  共同通信PRワイヤーは共同通信グループのプレスリリース配信サービスです。

  •  広告ビジネスに携わる方々に「新聞」と「新聞広告」の特性をご理解いただくことを目的として運営しています。
  •  自分に合った読み方を診断してみよう。きっと新聞の読み方が変わるハズ?

  •  日本で唯一の「ナショナル・プレス・クラブ」です。人々の「知る権利」に資するジャーナリズム活動の拠点です。