魚種変動の衝撃:第3部 危機を越えて(4)アカイカは回復傾向(2018/06/12)
デーリー東北

魚種変動の衝撃
第3部 危機を越えて

 水揚げ魚種の急激な変動に揺れる八戸などの産地。水産業界は危機感を強めるものの、解決への糸口は容易に見えない。第3部では現状打開を図る動きや、今後へのヒントを探る。

(4)アカイカは回復傾向(2018/06/12)

中型イカ釣り船のスルメイカ、アカイカの水揚げ数量
 5月12日、八戸港から11隻の中型イカ釣り船が大漁旗をはためかせて出漁していった。日本一の隻数を誇るヤマツ谷地商店(八戸市)の船団だ。
 向かうのは東へ1週間ほどの北太平洋にあるアカイカ漁場。背には強い西風だけでなく、“ハマ”の熱い期待を受けていた。
 「スルメイカの不漁で八戸は大変な状況だ。とにかく大漁で帰ってきたい」。船団を束ねる第67源栄丸の大橋社(やしろ)漁労長(70)は表情を引き締めた。
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 スルメイカが長期不漁に見舞われる中、八戸では同じく加工原料となるアカイカの存在感が高まっている。珍味や中華料理の材料、ステーキなどに加工される。昨シーズンの中型イカ釣り船の水揚げでは全体の4割に達した。単価もスルメイカの不漁が始まる前の14年比で6割ほど高い。
 八戸港では主に中型イカ釣り船による5〜8月の北太平洋の春夏漁、1〜2月の三陸沖の冬漁で水揚げされる。今年の春夏は八戸所属の20隻と他港の6隻が出漁し、計26隻が八戸に水揚げする予定だ。
 資源量は十数年規模で変動することが知られる。風が強い時期には海がかき混ぜられて下層から餌のプランクトンが湧き上がり、資源量が増えると考えられている。近年では2011年に大きく落ち込んだものの、それ以降は回復傾向をたどっている。今年も序盤の漁模様は好調のようだ。
 資源量そのものはスルメイカのような悪い状態ではない。だが、難しいのは広い太平洋の上で、アカイカが多く集まる漁場を見つけられるかどうか。効率的に見つけられれば、漁獲増と燃料削減という二つの効果が見込まれる。
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 そこで、一般社団法人・漁業情報サービスセンター(東京都)が5月から本格的な運用を始めたのが、アカイカの漁場予測システムだ。海洋研究開発機構や水産研究教育機構、青森県などが10年度から開発に取り組んできた。15〜17年度の県による試験配信などをへて、実用化された。
 システムは海域の水温や塩分、潮流など複数のデータをコンピューターによるシミュレーションと人工衛星からの実測で導き出す。その上で、八戸所属の中型イカ釣り船による過去の漁獲データと照らし合わせる。すると、その時の条件でアカイカが最も集まる場所を予測できるという。
 開発当初から携わってきた同センター漁海況部の酒井光夫技術専門員(61)は「広い太平洋で何の手掛かりもなくアカイカを探すのは難しい。予測システムで効率的に漁獲してほしい」と呼び掛ける。
 「勘や経験に頼るのはもう古い。これからは最新の技術も取り込んだ漁業をしていかなければ」。船主の一人は“スマート漁業”の実現に期待を寄せる。
 現在、漁場や漁期の拡大に向けて八戸所属の大型イカ釣り船による調査も行われている。資源状態が比較的に良好なアカイカの水揚げ動向に、熱い視線が注がれている。

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