魚種変動の衝撃:第3部 危機を越えて(5)加工難しいマイワシ(2018/06/13)
デーリー東北

魚種変動の衝撃
第3部 危機を越えて

 水揚げ魚種の急激な変動に揺れる八戸などの産地。水産業界は危機感を強めるものの、解決への糸口は容易に見えない。第3部では現状打開を図る動きや、今後へのヒントを探る。

(5)加工難しいマイワシ(2018/06/13)

食品総合研究所の展示会に出品されたマイワシ加工品のコラージュ(同研究所提供)
 3月6日、青森県産業技術センター・食品総合研究所(八戸市)が市水産会館で開いた水産加工品の展示会。目を引いたのはマイワシ加工品の多さだ。
 エスニック漬、トマトクリーム煮、薫製なまり節風、ローストオニオン煮、レモン煮…。展示された29品のうち9品を占めた。昨年までの5年間では計2品にすぎなかった。
 同研究所の川村俊一所長は「今後はマイワシの加工に対するニーズが出てくると見込まれるので、多く展示した。若者も意識して従来にない味付けに挑んだ」と説明した。
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 2014年以降、八戸港でスルメイカと入れ替わるように水揚げが増えるマイワシ。17年のイワシ類の水揚げ数量は3万1431トンでイカを逆転し、13年の8倍以上に伸びた。ただ、イカとサバの大量水揚げに支えられてきた八戸では、マイワシを加工原料として使う業者はほとんどない。
 現状では大半が市内の仲買業者を介して県外や海外へ出荷されている。ある業者は「マイワシは飼料となる一部を除けば、八戸を素通りするだけ。転売の利ざやは得られるが、加工工場の稼働率の向上には寄与しない」と指摘する。
 このまま水揚げが増えた場合、マイワシをさばき切れない懸念も。市場関係者からは「魚種の交代に合わせて、加工業者もマイワシにシフトする必要がある」との声が上がる。
 ところが、マイワシを加工原料とするのは難しい。同研究所の中村靖人総括研究管理員によると、▽魚体が小さくて扱いにくい▽ウロコが大きい▽身が柔らかい▽鮮度が落ちやすい▽冷凍すると酸化しやすい―など、原料としての短所は枚挙にいとまがない。「イカのように優れた加工原料の代わりにはなり得ない」と指摘する。
 市内の加工業者でもマイワシの活用を探る動きはあるものの、単価を含め商品開発に悪戦苦闘しているようだ。それでも、スーパーなどの店頭にはマイワシの加工品が目立ってきた。
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 中村研究管理員もマイワシの短所を列挙する半面で「いずれ資源が変動することは常に念頭にあった。各社のニーズに迅速に対応できるよう、マイワシを含め、あらゆる魚種の研究を進めてきた」と強調する。
 3月6日に展示したマイワシの加工品が一例。若年層や子どもに合わせた味付けを考えるとともに、料理にあまり時間を割けない家庭向けにレトルトパックや缶詰を増やしたという。
 マイワシでは商品化の例はないものの、3月にはマルヌシ(八戸市)がサバの小型化対策の一つと位置付ける「サバ缶バー」として成果につながった。アヒージョやハバネロ、トムヤムクンなどバラエティー豊かな味を楽しめる。
 「マイワシに限らず加工業者からの相談は増えている。いろいろなメニューをそろえているので、各社の事情に応じてオーダーメード型で対応したい」と中村研究管理員。水産加工分野では全国でも珍しいという、公的な研究機関の価値が試される局面でもある。

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