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被災地はいま 福島・宮城・岩手

 デーリー東北新聞社は11年4月、福島、宮城、岩手3県の被災地を訪ね、現地の惨状と人々の表情を伝えた。震災から間もなく5年。被災地を再び訪ね、現状や住民の復興と郷土への思いを取材した。

(6・完)田野畑(2016/03/04)

 2月19日。岩手県田野畑村机地区の机漁港から、1隻のサッパ船(小型漁船)に乗って海へ出た。三陸復興国立公園に指定された自然景勝地・北山崎の景観を、海から楽しむ「サッパ船アドベンチャーズ」だ。
 「天気に恵まれたよ」
 船長の漁師上村繁幸さん(66)の案内で、迫力ある断崖絶壁や自然にできた穴など、陸からは見られない景色を船上で独占した。
 サッパ船運航は震災後中断し、2011年7月に再開。運航に協力する上村さんは同年4月当時、津波で船を失いながらも、再開を模索していた。「お客さんの喜ぶ姿を思い出し、絶対にまたやるんだとの思いが強かった」と振り返る。
◆  ◇  ◆
 村は沿岸に平地が少ないが、最大で標高約25メートルまで津波が到達。漁港や集落の被害が大きかった。
 サッパ船運航の発着点の机漁港を擁する「机浜番屋群」も全壊。11年4月当時は見る影もなかったが、15年4月に番屋23棟を新築し、復活した。
 古くからの漁村の暮らしを伝える番屋群再生に向け、11年秋、村やサッパ船運航などを運営するNPO法人「体験村・たのはたネットワーク」が中心となり、再生プロジェクトを組織。
 漁協や自治会など関係機関が連携し、観光面だけでなく、漁師の使い勝手を考え、設備や仕様を検討。震災前に番屋を訪れた観光客らに支援を呼び掛け、屋根に石を載せたりするボランティア作業もお願いした。
◆  ◇  ◆
 番屋群は現在、上村さんら漁師が13棟を使用。塩作りやダイビングの体験に活用できる棟もある。
 上村さんは「夢を見ているよう。多くの支援で再生でき、ありがたい」と喜びもひとしお。同ネットワーク事務局長の楠田拓郎さん(35)は「村の漁師の文化や営みを見られるのが番屋群。形だけの再生では意味がなかった」と強調する。
 観光客らが営みに触れ、漁師と交流できる空間は戻った。だが、敷地内には大きな消波ブロックが並び、港内では防波堤の工事も進む。元の景観が戻るまでは、しばらく時間がかかる。
 上村さんらは、観光客に震災当時の様子や村内と港の復興状況を語る。村の文化を紹介する観光は、村民のいまを伝える発信源だ。
 楠田さんは「ここに来て生の田野畑を感じてほしい」とアピール。上村さんも「まだ老け込む年じゃないよ」と意欲を見せた。
【写真説明】
2011年4月当時、全滅した机浜番屋群跡(右)と再生した番屋群(左)。田野畑村の漁師の営みと文化を伝える

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