政のカタチ 青森から見る「0増6減」:第1部 1票の価値(上)法の下の平等(2017/04/07)
デーリー東北

政のカタチ 青森から見る「0増6減」
第1部 「1票の価値」

 1票の格差是正に向け、「衆院選挙区画定審議会」は月内にも新たな区割り案を首相に勧告する。人口比例に基づく見直しによって、地方の議席は減り続けるのか。変わる「政(まつりごと)のカタチ」。その周辺を探る。

(上)法の下の平等(2017/04/07)

2013年の衆院選挙区割り改定で、青森3区から2区に編入された五戸町の中心部。改定後の衆院選では投票率が大幅に下がった
 「格差について深く考えたことはない。地元のために予算を取ってきてくれる人に投票するだけ」
 2013年の衆院選挙区割りの改定で、青森3区から2区に編入された五戸町。会社経営の男性(46)は率直な思いを語る。
 1996年に小選挙区制が導入されてから17年。人口約1万7千人の町の選挙区が変わった背景には「1票の格差」があった。
 1票の格差とは、有権者の票が持つ価値≠フ違いを指す。例えば、A地区の住民2人が議員1人を選んだ場合と、B地区の住民1人が議員1人を選んだ場合では、B地区の1票の価値はA地区の2倍に相当する。
 実際の選挙で具体例を示せば、14年衆院選での最大格差は、有権者数が最少の宮城5区(23万1081人)と最多の東京1区(49万2025人)間の2・13倍だった。東京1区の有権者から見ると、1票の価値が宮城5区の半分に満たないことになる。
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 憲法第14条は「法の下の平等」を規定する。選挙制度の大原則は「1人1票」。しかし、現状では1票の価値に選挙区間で不平等が生じている。国民の代表である国会議員を選ぶのに「民意が正確に反映されない」として、近年は国政選挙ごとに格差を巡る訴訟が提起されている。
 「憲法の投票価値の平等に反する」。司法は選挙自体を有効としながらも、2倍以上の最大格差などを踏まえ、「違憲状態」とする判断を相次いで示している。衆院選は09年から3回連続。参院選も10、13年と同様の判決が出た。
 1票の価値は、人口の偏りを背景に、都市部より地方が高くなる傾向にある。15年国勢調査(人口確定値)による比較で、青森県(1〜4区)は、全国で人口が最多の北海道1区(58万9501人)の1・530〜2・098倍だった。
 違憲状態との指摘を踏まえ、国会は定数削減や選挙区割りの改定といった是正に躍起だ。県内の選挙区を1減とすることを含め、昨年10月に決定した衆院小選挙区「0増6減」も、その取り組みの過程にある。
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 「都会より地方の方が政治への関心が高い。地方の定数削減は発言力が小さくなるので良くない」。五戸町の無職向山裕さん(68)は格差是正の必要性に理解を示しつつ、地方に配慮するよう訴える。
 「地方をひいき目で見てもらいたいという思いはある。ただ、フェアじゃないと言われるなら仕方がない」と複雑な表情を浮かべる町民もいる。
 14年の衆院選で、町内の投票率は39・01%。3区に属していた12年衆院選より17・09ポイントも下がった。区割り改定が確定する前から、町内には戸惑いが広がった。町は国に3区への残留を求めたが、受け入れられなかった。選挙区の変更が有権者の関心の低下を招いたとの指摘もある。
 向山さんは「前回の衆院選は誰に投票していいか分からなかった」と振り返り、胸中を吐露した。「隣の候補者の名前は知っていても、考え方や信念までは分からない。やはりなじみのある選挙区の方がいい」

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