政のカタチ 青森から見る「0増6減」:第2部 「変わる“地元”」(2)南部と津軽(2017/04/23)
デーリー東北

政のカタチ 青森から見る「0増6減」
第2部 「変わる“地元”」

 衆院選挙区画定審議会(区割り審)が19日、小選挙区定数を「0増6減」する区割り改定案を安倍晋三首相に勧告した。選挙区が変わることを、有権者はどのように受け止め、行動しようとしているのか。

(2)南部と津軽(2017/04/23)

下北半島から見える津軽半島の外ケ浜町付近(奥)。陸奥湾を挟んで同じ新1区となる=20日、むつ市脇野沢
 晴れが広がった20日。下北半島のむつ市脇野沢の漁港で、漁業者が網の手入れをしていた。海の向こうに、津軽半島の山並みが浮かぶ。
 衆院の「1票の格差」の是正を図る新たな選挙区割りで、下北半島は県都・青森市と津軽半島で構成される現在の青森1区に組み込まれた。陸奥湾をぐるりと囲む新1区は、大間崎から竜飛崎までの海岸線延長が約320キロに及ぶ。
 「南部と津軽の関係は有名な話。もちろん意識はした」。衆院選挙区画定審議会の小早川光郎会長は、青森県内の区割り案作成に当たり、藩政時代からの地域特性も考慮したことを明かした。
 しかし、県内選挙区を4から3に再編する中、飛び地の回避といった基準を守りつつ、行政区画や地勢、交通事情などを総合的に考えれば、両半島の“合体”は避けられなかった。
 何かにつけ反目が取り沙汰される「南部」と「津軽」が混在する新1区。歴史や文化はもちろん、原子力や北海道新幹線など政策課題が異なる中、同じ選挙区となることに違和感を唱える有権者も少なくない。
 果たして一体感は生まれるのか―。
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 下北はホタテガイ養殖やマダラ漁など漁業が盛ん。恐山や仏ケ浦など全国に知られる景勝地が数多く、観光地としても人気。核燃料サイクル施設、原発が集中立地する「原子力半島」でもある。
 「(津軽に)なじみがない。衆院選にあまり興味が湧かないのに、一緒になれば余計に投票所から足が遠のきそう」。むつ市川内町の主婦(62)は、ふに落ちない様子だ。
 ただ、過去を振り返れば、1993年衆院選までの中選挙区制では、下北半島全域と津軽半島の一部が一つの選挙区(旧1区)だった。
 南部と津軽の統合に釈然としない有権者がいる一方で、同市脇野沢の自営業男性(37)は「海を挟んでいるものの、直線距離では遠くない。漁師を中心に陸奥湾沿岸はつながりもあると思うし、違和感はない」と言い切る。
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 下北の対岸に位置する津軽半島も、陸奥湾でのホタテガイ養殖など漁業が主要産業だ。観光スポットとしては竜飛崎が有名。昨年3月には北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅」が開業し、青函地域の交流人口の拡大に取り組んでいる。
 竜飛崎近くの商店で働く外ケ浜町三厩の40代女性は、下北について「大間の漁師が店に寄ることもあるが、基本的にはよその地域」とにべもない。「車で4時間以上かかる。行く用事もない」と親近感が薄い。
 むつ湾フェリーが同町蟹田と脇野沢間を約1時間で結ぶが、蟹田の漁業男性(53)も下北との仲間意識はない。「あれに乗るのは観光客。特に交流はない」と素っ気ない。
 新幹線駅があり、開業効果に期待を膨らませる今別町。中心街で食堂を切り盛りする女性(71)は、人通りの少ない街並みに目をやりながら、「駅はできたけど、見ての通り」とため息をつく。「下北が一緒になれば、原子力ばかりに目が向く。津軽がないがしろにされる」と眉をひそめた。

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