政のカタチ 青森から見る「0増6減」
デーリー東北

政のカタチ 青森から見る「0増6減」
第2部 「変わる“地元”」

 五戸町と八戸市の境を示す看板。町は2013年に青森3区から2区に編入されたが、わずか4年で2区の一部と3区を統合した新2区に組み込まれた

(4・完)“元のさや”(2017/04/25)

五戸町と八戸市の境を示す看板。町は2013年に青森3区から2区に編入されたが、わずか4年で2区の一部と3区を統合した新2区に組み込まれた
 「国は人口だけにこだわり、あっちに行け、こっちに行けと言う。前回の区割り変更は何だったのか」。五戸町で農業を営む男性(64)は不信感を隠さない。
 町は2013年、衆院の「1票の格差」の是正を目的とした選挙区の見直しで、八戸市や三戸郡と同じ青森3区から、上十三や下北地域で構成する2区に編入された。
 あれからわずか4年。衆院選挙区画定審議会が示した区割り案で、町は現在の3区と2区の一部を統合した新2区に組み込まれた。
 “元のさやに収まった”とはいえ、有権者は格差是正の大義に振り回された格好。地方と都市の人口格差は今後も拡大が見込まれるため、「近いうちに、また区割りが変わるのではないか」と不安を隠せない。
 相次ぐ区割りの見直しは、町民にとって“小手先”と映る。自営業の女性(53)は「格差是正とはいえ、パズル感覚で線引きされるのは怖い」と苦言を呈する。
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 五戸が現2区に編入された後、初めて実施された14年の衆院選。複雑な思いで投票所に足を運んだ無職の男性(68)は「なじみのない候補者ばかりで、誰に投票したらいいのか分からなかった。無駄な一票を投じる気分だった」と振り返る。
 町の投票率は前回から大幅にダウンし、39・01%と戦後最低を記録。白紙投票、かつて属していた3区の候補者名を記入するなど無効票も400を超えた。有権者が区割り変更に“無言の抗議”をしたと見る向きもあった。
 町内では選挙制度の抜本改革の必要性を説く声も多く聞かれる。農業の男性(63)は「実情に合わない区割りにするのであれば、いっそのこと、参院選のように県全域から3人を選べばいい。その方が平等だ」と持論を唱える。
 小選挙区制について、青森中央学院大の佐藤淳准教授(政治学)は「二大政党政治を前提に、これまでの人物重視から各党の政策を加味して投票を行うもので、方向性は間違っていない」とする。
 一方、格差是正で選挙区が頻繁に変わり、有権者に分かりにくくなる欠点があると指摘。人口減少の加速を見据え、「小選挙区の是非だけでなく、参議院の在り方も含め、見直しを考える時期なのかもしれない」と提言する。
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 度重なる改定に戸惑う有権者だが、多くは新たな区割りそのものを歓迎する。
 新2区は八戸市と三戸郡の3区に十和田、三沢両市と上北郡南部が加わり、巨大な南部圏を構成する。
 八戸市のある経済関係者は、既に八戸、上十三両地域は通学や通勤、ビジネスで交流があるとし、「新2区の形成で、これまでの『八戸圏域』の概念が変わる可能性がある」と見る。
 地元の国会議員や選挙区の変更がきっかけとなって人の動きが活発化し、経済・ビジネスの拡大につながると予測。「八戸は中心市としての役割や重要性がますます大きくなる。新たなエリアの経済発展に向け、関係自治体に積極的に働き掛けをしていくべきだ」と提案する。

政のカタチ アーカイブ

第1部 「1票の価値」

 1票の格差是正に向け、「衆院選挙区画定審議会」は月内にも新たな区割り案を首相に勧告する。人口比例に基づく見直しによって、地方の議席は減り続けるのか。変わる「政(まつりごと)のカタチ」。その周辺を探る。

第2部 「変わる“地元”」

 衆院選挙区画定審議会(区割り審)が19日、小選挙区定数を「0増6減」する区割り改定案を安倍晋三首相に勧告した。選挙区が変わることを、有権者はどのように受け止め、行動しようとしているのか。

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