まつり再考:第2部(3)【課題と意義】担い手不足 危機感共通(2016/12/26)
デーリー東北

八戸三社大祭 まつり再考
第2部 無形文化遺産登録

(3)【課題と意義】 担い手不足 危機感共通(2016/12/26)

ユネスコ無形文化遺産に登録された日本の「山・鉾・屋台行事」。各地の関係者は、さまざまな課題と向き合いながらも、登録を契機に保存と継承につなげようと考えている。写真はコラージュ。右から時計回りに、京都祇園祭、秩父夜祭、八戸三社大祭
 八戸三社大祭や埼玉県秩父市の秩父夜祭(よまつり)をはじめ、全国18府県の山・鉾(ほこ)・屋台行事33件は、ユネスコの無形文化遺産に登録され、名実ともに「世界の財産」となった。
 登録直後の開催となった今年の秩父夜祭は、過去最多の人出を記録した。祭りを終え、熱気と“祝賀ムード”が残る中で関係者から多く聞かれたのは、地域でどう祭りを支えていくべきか、今後の対応を模索する声だった。
 秩父市教委の担当者は「中心商店街の町内では、特に後継者不足が深刻。少子高齢化が進む厳しい状況の中で、何とか続けていかなければ」と強調した。
   ◇    ◇
 現在27の山車組がある八戸三社大祭でも、制作者や引き子の確保に苦慮している組は多い。今回登録となった各地の祭りにも同じような現状があり、関係者は地域内で維持してきた行事を未来につなげるための担い手をどう育てるか、という課題と日々向き合う。
 20町内が山車を連ねる山形県新庄市の「新庄まつり」は、山車の形態や運行が八戸三社大祭と似ている部分も多い。
 まつり実行委員会は、制作する町内によって参加者の人数や規模に差があること、市内の中でも祭りに対する温度差が見られることなどを課題に挙げる。
 本番の山車の引き手を増やそうと、各町内や実行委では、周辺の市町村や首都圏の大学に直接呼び掛けて若者の確保に努めているが、担当者は「これからますます、各町内だけでは賄えなくなる。『市民全体で支える』という意識が重要になるだろう」と、危機感を口にした。
   ◇    ◇
 同じように課題や悩みを抱える全国33件の祭りだが、多くの関係者は、今回の登録を契機に、祭りの本質的な魅力を見直し、時代に合った保存と継承につなげたいと考えている。
 約千年を誇る歴史の長さと規模の大きさから、各地の祭りにも影響を与えたとされる、京都市の「京都祇園祭」。日本を代表する祭りとして、観光や運営面のノウハウは確立された一方で、脈々と地元で守ってきた“町衆の祭り”という伝統は徐々に薄れつつある。
 祇園祭山鉾連合会の担当者は、「町衆の文化を守り、伝えていくのは大切な使命の一つ。ユネスコ登録により、全国の他の祭りでも同じように、保護に対する関心が高まるのではないか」と期待を込める。
 滋賀県長浜市の市曳山(ひきやま)博物館では、通常各町内に保管している「長浜曳山祭」の曳山を入れ替えて展示しており、祭り期間以外でも見学できる。博物館の担当者は「地域で続いてきた行事を伝承し、市民全体の理解を深めていかなければいけない」と語る。
 長浜曳山祭では戦後、各町内の資金難の問題などで、12基の曳山のうち、本番に参加する山組を入れ替えながら4基ずつ運行する方式に変えた。少子化を受け引き手の確保などに苦慮しつつ、それぞれの山組が協力し合って運行を維持してきた。
 時代に応じて課題は変化してきたが、担当者は「子どもからお年寄りまで参加し、行事のしきたりを大切にしてきたことは変わらない」と魅力を語る。登録を契機とし、祭りの本質を見直そうという機運の高まりを追い風に、「伝承や継承に大きな役割を果たす博物館も活用しながら、行事全体を守り続けていきたい」と力を込めた。

PR

  •  47NEWSは47都道府県52新聞社のニュースと共同通信ニュースを束ねた総合サイトです。
  •  全国の1,300を超えるショップと47都道府県の地方新聞社が一緒になって活動をしています。青森の“おすすめ”はこちらから。
  •  家族や友だちといっしょに記事を読み、感想・意見などを書いて記事とともに応募するこのコンクールは、「思考力・判断力・表現力」を重視する学習指導要領の理念も念頭に置いた企画です。。
  •  共同通信PRワイヤーは共同通信グループのプレスリリース配信サービスです。

  •  広告ビジネスに携わる方々に「新聞」と「新聞広告」の特性をご理解いただくことを目的として運営しています。
  •  自分に合った読み方を診断してみよう。きっと新聞の読み方が変わるハズ?

  •  日本で唯一の「ナショナル・プレス・クラブ」です。人々の「知る権利」に資するジャーナリズム活動の拠点です。