まつり再考:第5部(1)【山車組】制作の魅力 広く発信を(2018/06/03)
デーリー東北

八戸三社大祭 まつり再考
第5部 未来へつなぐ

(1)【山車組】制作の魅力 広く発信を(2018/06/03)

今年の山車制作で、新聞を貼り付ける作業を進める石橋元平さん。「次世代の制作者を育てる環境をつくりたい」と考えている=1日、八戸市内
 「幼い頃の自分が見て、衝撃を受ける山車になっているだろうか」。八戸市の「十一日町龍組山車組」で制作責任者を務める石橋元平さん(36)は、ふと考えることがある。
 山車制作の原点は、幼少期に行列を目の当たりにした時の純粋な驚きと、「どうやって作っているんだろう」という好奇心。先輩の背中を追い掛け、のめり込んでいった。
 他の山車組にも、自分と同じように「祭りがあるから」と地元に残っている同年代の仲間がいる。頼もしい存在だ。しかし、10年、20年先に目を向けると…。「制作を手伝ってくれる人はある程度確保できても、題材を考えて山車作りを引っ張るリーダーはいなくなるのでは。自分たちの代が最後かもしれない」。そんな不安もよぎる。
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 八戸三社大祭に参加する山車組は27組。おがみ、長者山新羅、神明宮の3神社の氏子区域にある町内などで組織し、それぞれの神社行列の「附祭(つけまつり)」として後方につき、豪華絢爛(けんらん)な山車で花を添える。
 山車組は市街地の町内を中心に山車小屋を持ち、町内会や消防団のコミュニティーを核として維持されてきた。だが、昭和40年代から平成にかけて、中心街に大型店舗や企業が多く立地するようになると、昔ながらの商店や町屋が減少。住む人が減り、町内に山車小屋を構えること自体が難しくなり、郊外へ拠点を移す組が増えた。
 制作場所が地元から離れたり、町内にあっても域外から通う人が多くなったりしたことは、山車組にとって大きな逆境となった。子どもの頃から山車小屋に足を運ぶ機会が減り、結果として参加者の確保に苦慮するように。次世代の後継者が育つ環境に変化が生じてしまった。
 今年3月、各山車組の若手が集結して、初めて一つの山車作りに挑んだ。今夏に八戸地域地場産業振興センター(ユートリー)内に新たに設置される、展示用の山車を制作。互いに技術を教え合い、時に議論しながら一緒に取り組んだ。石橋さんは「良い化学反応が起きた」と手応えを語る。
 同時に、この熱量を次の世代に伝え、制作者を目指す子どもを育てる環境をつくりたい―との思いを強くした。「総合芸術としての価値に、もっと胸を張るべきだ。制作者自身がもっと制作の魅力を発信して、関心がある子どもを山車組で受け入れる雰囲気をつくっていきたい」
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 組の運営を担う人材の不足を懸念する声もある。地元の家々や店舗、企業などを回って金品を募る「門付け」の調整、地域住民との橋渡し役を引き受けているのは、経験豊富な町内の“長老”たち。地域の結び付きの希薄さが指摘される昨今だけに、ベテラン世代が引退すれば次世代に組を引き継ぐことが難しくなる可能性もある。
 山車組を継承するためには、制作技術だけでなく、関係先との人脈を絶やさない努力も不可欠だ。「組の核となり、地域と山車組を結ぶ人材がいなければ、山車組は先細りになってしまう」。長年にわたって山車組の歩みを見てきた八戸観光コンベンション協会の沼田昌敏事務局長(53)は警鐘を鳴らす。
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 八戸三社大祭を取り巻く環境は、時代とともに変化している。課題にどのように向き合い、解決策を講じていくべきか。第5部では祭りを維持し、未来へつなぐヒントを探る。

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