八戸三社大祭 まつり再考
デーリー東北

八戸三社大祭 まつり再考
第5部 未来へつなぐ

  八戸三社大祭を取り巻く環境は、時代とともに変化している。課題にどのように向き合い、解決策を講じていくべきか。第5部では祭りを維持し、未来へつなぐヒントを探る。

(5)【継 承】意味、本質 伝え続ける(2018/06/07)

神楽の練習に励む子どもたち。祭りの本質を伝え、受け継いでいくことが求められる=5月31日、八戸市内丸
 5月下旬の午後7時ごろ。八戸市内丸のおがみ神社の社殿に明かりがともり、鉢巻き姿の子どもたちが、真剣なまなざしで、神楽の演目の一つ「三番叟(さんばそう)」の練習に取り組んでいた。?神社法霊神楽保存会が、毎週木曜夜に開いている練習会だ。
 小学校高学年の“先輩”が年下の子どもに手足の細かい動きを教える。小学3年から習う市立八戸小6年の須田寿花(ことか)さん(11)は、小学校の郷土芸能に触れる授業の一環で歯打ちを見て、「ぜひ自分も」と参加を決めた。「もっと難しい演目を覚えていきたい」と意気込む。
◇    ◇
 保存会には、市内の小中高生を中心に二十数人が参加する。八戸三社大祭のお通りやお還(かえ)りの行列で、名物の一斉歯打ちを披露するほか、市内の各行事などで神楽を奉納している。
 祭り本番、沿道に詰め掛けた観客の前で披露した後、「わっと拍手が沸き起こるその瞬間を知ってしまうと、やめられなくなる」。保存会会長の松本徹さん(52)は魅力を語る。
 連綿と伝統をつないできた神楽だが、担い手の確保に苦慮する現状もある。中学、高校と進学するにつれ、他の部活動との両立が難しくなるほか、就職や子育てなどの理由で離れていってしまう。昔に比べて経験豊富な担い手が減り、子ども中心の活動にならざるを得ない。
 それでも、夏休み期間中に参加できる生徒がいたり、「祭りの時期だけは」と仕事の都合をつけて神楽に参加してくれる若者がいたりする。松本さんは活動を継続することが受け皿となると信じ、「いつでも帰ってきていいよ、という思いで、週に一度の練習はやり続ける」という。
 行列で神輿(みこし)が来たら、かしわ手を打って感謝の気持ちを伝えること、一斉歯打ちは、本来、神社や家庭にある権現様の頭(かしら)を「遊ばせる」意味合いを持つこと…。松本さんは、神楽の伝統とともに、現代で薄れゆく風習や祭り本来の形など本質を大切に伝え続ける決意だ。
◇    ◇
 長年にわたり、地域住民の手で行事を継承してきたことに価値を見いだし、数十年先を見据えた祭りの在り方を問う声もある。
 学芸員で、八戸市教委社会教育課主査の柏井容子さん(35)は、2015〜17年度に市から文化庁に出向。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録に関する業務に携わった。
 三社大祭を含む国内33件の行事が評価された理由として、地域の核となるような神社があり、氏子や町内を中心に大切に受け継がれてきたこと、地域の連帯感を醸成する祭りであることが挙げられるという。
 今後、地域でどのように維持し、継承していくかが課題となる。柏井さんは目先のテーマだけでなく、「20年、30年という長い単位で考え、地域の住民自身が無理なく継続できる在り方を探ることが大切だ」と強調する。世代を超えて市民が関わる祭りだからこそ、将来を見据えた長期的な視点が不可欠だ。
(連載「まつり再考」は今回で終了します。)

八戸三社大祭 まつり再考 アーカイブ

第1部 開催日程

 約300年前、八戸の先人が豊穣を願って始めた八戸三社大祭。年内に見込まれるユネスコ無形文化遺産の登録をにらんだ動きも相まって、祭り本来の意義や価値を見詰め直す機運が高まっている。本紙連載「まつり再考 八戸三社大祭」の第1部では、秋祭りから夏祭りになった背景や、日程繰り下げを望む声が上がる理由など、開催日程について考える。

第2部 無形文化遺産登録

 八戸三社大祭を含む全国33件の祭りで構成する山・鉾・屋台行事が、ユネスコの無形文化遺産に登録された。これを契機に三社大祭の魅力を見直し、さらなる発展につなげるにはどんな取り組みが必要なのか。第2部では、登録直後の開催となった秩父夜祭をはじめ、全国の祭りの事例も参考にヒントを探る。

第3部 山車小屋の現状

 約300年の歴史を誇り、昨年12月にはユネスコ無形文化遺産に登録された八戸三社大祭。開催日程を巡る議論とともに、山車制作場所の確保が大きな課題となっている。各山車組の制作拠点が失われれば、祭りの継承も困難になりかねないからだ。第3部では、山車小屋の現状を探る。

第4部 日程を考える

 毎年7月31日〜8月4日に開かれている八戸三社大祭。日程を巡り、関係者は▽現行のまま▽8月20日前後▽9月初旬―の3案で検討を進めている。日程変更に伴う影響を探る。

第5部 日程を考える

  八戸三社大祭を取り巻く環境は、時代とともに変化している。課題にどのように向き合い、解決策を講じていくべきか。第5部では祭りを維持し、未来へつなぐヒントを探る。

PR

  •  47NEWSは47都道府県52新聞社のニュースと共同通信ニュースを束ねた総合サイトです。
  •  全国の1,300を超えるショップと47都道府県の地方新聞社が一緒になって活動をしています。青森の“おすすめ”はこちらから。
  •  家族や友だちといっしょに記事を読み、感想・意見などを書いて記事とともに応募するこのコンクールは、「思考力・判断力・表現力」を重視する学習指導要領の理念も念頭に置いた企画です。。
  •  共同通信PRワイヤーは共同通信グループのプレスリリース配信サービスです。

  •  広告ビジネスに携わる方々に「新聞」と「新聞広告」の特性をご理解いただくことを目的として運営しています。
  •  自分に合った読み方を診断してみよう。きっと新聞の読み方が変わるハズ?

  •  日本で唯一の「ナショナル・プレス・クラブ」です。人々の「知る権利」に資するジャーナリズム活動の拠点です。