八戸三社大祭 まつり再考
デーリー東北

八戸三社大祭 まつり再考
第2部 無形文化遺産登録

 八戸三社大祭を含む全国33件の祭りで構成する山・鉾・屋台行事が、ユネスコの無形文化遺産に登録された。これを契機に三社大祭の魅力を見直し、さらなる発展につなげるにはどんな取り組みが必要なのか。第2部では、登録直後の開催となった秩父夜祭をはじめ、全国の祭りの事例も参考にヒントを探る。(取材班)

(4)【守るべきもの】他の祭りと異なる造形(2016/12/27)

市民の手で毎年作り変えられる山車(上)と、民俗芸能の一つである神楽の一斉歯打ち(下)。いずれも八戸三社大祭ならではの魅力だ(写真はコラージュ)
 八戸三社大祭を含む全国33件の山・鉾(ほこ)・屋台行事はいずれも、地域社会の安泰を願い、地元住民の力を結集して執り行う祭礼行事として、ユネスコの無形文化遺産に登録された。
 地域の文化の粋を凝らして山・鉾・屋台を華やかに飾り付ける伝統的な工芸技術は、持続可能な方法で長年にわたり継承されてきた。祭りに向けた準備や練習を通じて世代の枠を超えた人々の対話と交流を促し、地域コミュニティーを結び付ける重要な役割を果たした。
 33件の祭りはこうした共通点が評価され、「世界の財産」となった。無形文化遺産登録を機に三社大祭がさらなる発展を遂げるには、まずはこれらの根本的な部分をしっかりと守り、受け継いでいく必要がある。
   ◇    ◇
 三社大祭では、祭りのたびに各町内などが山車を一から作り変える。これは、33件の中でも珍しい取り組みとされる。
 「山車を毎年作り変えることで、『昨年よりも素晴らしい山車にしたい』と制作者の意欲が増し、技術の向上にもつながっている」。山車組関係者で組織する、はちのへ山車振興会の杉澤敦夫副会長はこうしたメリットを挙げる。
 学芸員で、国立民族学博物館(大阪)に勤務した経験を持つ八戸市教委社会教育課の小林力主事によると、全国の祭りでは通常、山車などを作り変える際に専門の職人へ制作を依頼する。「三社大祭のように、市民の制作者が、しかも毎年作り変えるケースはほとんど例がない」という。
 三社大祭の山車は上方と江戸の文化がアレンジされ、独自色の強い形態をしている点にも注目し、「他の祭りとは異なる造形をした山車自体を、魅力として全国にPRできるのではないか」と力を込める。
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 三社大祭のもう一つの大きな特徴は、神楽や虎舞といった多様な民俗芸能が行列に加わっている点だ。
 多くの祭りの場合、成立当初は神輿(みこし)を中心とした祭礼行列「練り物」に民俗芸能の原形であるさまざまな出し物が付き従っていたが、発展過程で山・鉾・屋台に集約されていった。一方、江戸中期が起源とされる三社大祭の行列には山車に加え、現在も多くの民俗芸能が残っている。「まさに江戸時代へタイムスリップしたような行列」(小林主事)で、文化的にも貴重だ。
 「地域に伝わる民俗芸能を、誇りを持って伝え守ってきた」と語るのは、おがみ神社法霊神楽保存会の松本徹会長。三社大祭が無形文化遺産に登録されたことは喜ばしいが、保存と継承に関しては心配があるという。
 小学生の時に参加してくれた子どもが、中学、高校と進むにつれて部活動などが忙しくなり、やめてしまうケースが後を絶たない。担い手不足は民俗芸能でも深刻化しており、松本会長は「ユネスコ登録を機に、地域の行事に対する理解がもう少し広がってくれればうれしい」と話した。
(第2部終わり)

八戸三社大祭 まつり再考 アーカイブ

第1部 開催日程

 約300年前、八戸の先人が豊穣を願って始めた八戸三社大祭。年内に見込まれるユネスコ無形文化遺産の登録をにらんだ動きも相まって、祭り本来の意義や価値を見詰め直す機運が高まっている。本紙連載「まつり再考 八戸三社大祭」の第1部では、秋祭りから夏祭りになった背景や、日程繰り下げを望む声が上がる理由など、開催日程について考える。

第2部 無形文化遺産登録

 八戸三社大祭を含む全国33件の祭りで構成する山・鉾・屋台行事が、ユネスコの無形文化遺産に登録された。これを契機に三社大祭の魅力を見直し、さらなる発展につなげるにはどんな取り組みが必要なのか。第2部では、登録直後の開催となった秩父夜祭をはじめ、全国の祭りの事例も参考にヒントを探る。

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