八戸三社大祭 まつり再考
デーリー東北

八戸三社大祭 まつり再考
第3部 山車小屋の現状

 約300年の歴史を誇り、昨年12月にはユネスコ無形文化遺産に登録された八戸三社大祭。開催日程を巡る議論とともに、山車制作場所の確保が大きな課題となっている。各山車組の制作拠点が失われれば、祭りの継承も困難になりかねないからだ。第3部では、山車小屋の現状を探る。(取材班)

(2)【苦しみの歴史】移転 住民理解が重要(2017/02/23)

長者まつりんぐ広場の多目的施設には、入居する3山車組の山車が並ぶ。冬季の保管期間中、空いたスペースはスケートボードパークとして活用される=11日、八戸市糠塚
 11日、休日の昼下がり。八戸市糠塚にある「長者まつりんぐ広場」の多目的施設で、若者がスケートボードを楽しんでいた。奥には八戸三社大祭の山車が3台並んでいる。
 広場は2007年8月、旧市民病院跡地にオープン。多目的施設には糠塚附祭組、十六日町山車組、鍛冶町附祭若者連の3山車組が入居、制作場所として使う。
 管理・運営する市公園緑地課によると、5〜7月は山車制作、8〜10月は展示期間で、希望があれば見学も可能。11〜4月は山車3台を1区画に寄せて保管する。さらに、保管期間中の1〜3月は、空いたスペースをスケートボードパークとして活用している。
 旧市民病院跡地を巡り、文化ホールと美術館の機能を併せ持つ「八戸芸術パーク」を整備する青森県の構想が浮上して約20年。これとは異なる施設ではあるが、山車組にとっては貴重な制作拠点となっている。
   ◇    ◇
 十六日町山車組の制作場所は、まつりんぐ広場の多目的施設に入居するまで幾度も移転を余儀なくされた経緯がある。
 元々は町内に近い場所に山車小屋を構えていたが、時代とともに現在の市立図書館や長根公園の敷地内、かつて同市青葉にあった通称・山車団地などを転々。その度に地域に迷惑を掛けないよう、細心の注意を払ってきた。
 「山車制作では工具なども使うので、移転して間もない時は特に騒音に気を付けていた」と語る代表の畠山真則さん(50)。「近隣住民の理解が何よりも重要。だからこそ、山車小屋の移転は時間がかかるし大変だ」と苦労を明かす。
 現在の場所に落ち着いてからは安心して山車制作に打ち込めるようになった。祭りが近づくとまつりんぐ広場でお囃子(はやし)の練習もできるため、「今は山車組の中でも恵まれた環境にある方だと思う」と力を込める。
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 朔日町附祭は、同市石堂の建設会社敷地内に山車小屋を構える。青葉の山車団地に隣接する場所から10年5月に移転し、今年で7年目になる。
 当初は別の候補地もあったが、住民の理解が得られず困っている時、建設会社から「町内から離れていてもよければ」と申し出を受けた。
 山車組がなかった地域だけに、当初は騒音などで住民からの苦情もあった。それでも、地域の盆踊りに参加するなど交流を深めることで徐々に理解が広まり、最近では住民から気軽に声を掛けられたり、近くの子どもたちが手伝いに訪れたりするようになったという。
 「本来は町内に山車小屋を確保できれば最高だが、場所がない。町外ではあるが、建設会社の厚意と住民の皆さんのおかげで制作を続けられる」と、代表の近藤慶央さん(35)。
 「山車小屋の問題は現在も多くの山車組が苦労している」と語り、「ユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産に登録された祭りを後世へ伝えていくためにも、行政側の支援がさらにあるとうれしい」と求める。

八戸三社大祭 まつり再考 アーカイブ

第1部 開催日程

 約300年前、八戸の先人が豊穣を願って始めた八戸三社大祭。年内に見込まれるユネスコ無形文化遺産の登録をにらんだ動きも相まって、祭り本来の意義や価値を見詰め直す機運が高まっている。本紙連載「まつり再考 八戸三社大祭」の第1部では、秋祭りから夏祭りになった背景や、日程繰り下げを望む声が上がる理由など、開催日程について考える。

第2部 無形文化遺産登録

 八戸三社大祭を含む全国33件の祭りで構成する山・鉾・屋台行事が、ユネスコの無形文化遺産に登録された。これを契機に三社大祭の魅力を見直し、さらなる発展につなげるにはどんな取り組みが必要なのか。第2部では、登録直後の開催となった秩父夜祭をはじめ、全国の祭りの事例も参考にヒントを探る。

第3部 山車小屋の現状

 約300年の歴史を誇り、昨年12月にはユネスコ無形文化遺産に登録された八戸三社大祭。開催日程を巡る議論とともに、山車制作場所の確保が大きな課題となっている。各山車組の制作拠点が失われれば、祭りの継承も困難になりかねないからだ。第3部では、山車小屋の現状を探る。

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