波山車作り60年 下組町・一戸さん兄弟(2016/08/04)

波山車作り60年 下組町 一戸さん兄弟(2016/08/04)

山車作りに携わって60年以上になる一ノ渡文雄さん(右)と正視さん。お還りでは自慢の「波山車」を一緒に引っ張った=3日午後4時40分ごろ、八戸市
 二人三脚で継承してきた伝統の「波山車」―。下組町山車組の一ノ渡正視(まさみ)さん(79)と文雄さん(77)の兄弟は、八戸三社大祭の山車作りに携わって60年余の大ベテラン。今年は1万本を超える「銀棒」で迫力満点の波しぶきを表現、「舟弁慶 五大明王の守護を受け亡霊を鎮める」を晴れ舞台に送り出した。3日のお還(かえ)りは一緒に山車を引っ張って中心街を練り歩き、「今年もいいものを作ることができた」。夏空に映える山車を見上げ、充実した表情を浮かべた。
 2人とも物心が付いた時から祭りに参加していた。中学生の頃からは、次第に制作の道へ。下組町のおはこは、海などを舞台にした波山車。半世紀以上にわたって、主に人形や刀、波などを手掛けている。
 力強さを求める文雄さんと、全体のまとまりを重視する正視さん。意見の違いから衝突することもあったが、「より良い山車を」との思いは同じ。話し合いを重ねながら制作者人生を歩んできた。
 1978年、79年と2年連続で優秀賞に選ばれた時の記憶が忘れられない。山車作りの中枢を担っており、組の仲間と抱き合ってうれし泣きした。多くの人に祝福の声を掛けられ、「やっぱり祭りが好きだ」と再確認。その時の思いが今なお、情熱の源になっている。
 現在は責任ある立場から退いたが、若手のサポートには熱心だ。多くが日中は仕事のため作業をできないことから、2人は昼から山車小屋へ。制作責任者のアイデアに合わせ、小物を夜まで懸命に作る。正視さんは「自分たちが60年かけて培った技術を、下組町に財産として残したい」と力を込める。
 経験のない最優秀賞が夢だ。今年は敢闘賞だったが、「今の若手は自分らより腕がある。いつかかなうと希望を持っている」と正視さん。文雄さんは「生きているうちに受賞してみたい。そのためにも、まだまだ技術を磨かないとね」。挑戦は続く。